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2023.03.19

膜・鉄・技の3本柱!55年の歴史と技術「三研工業」

三研工業株式会社(1969年設立)

多久市にある三研工業株式会社

三研工業は、屋根や壁にシートを使った膜構造建築物の設計・施工・メンテナンスを一貫して行っています。

膜構造建築物は、テント倉庫や荷さばき場など様々な用途で使われています。

「耐震耐久性」に優れている

いちばんの特徴は「耐震耐久性」に優れているということ。

膜素材であるシートには、建築基準法で定められた強度をクリアした塩化ビニル製のものを使用しています。

骨組みには腐食やサビに強い「溶融亜鉛メッキ」で加工をした鉄骨を使っています。

三研工業の歴史の中では、日本の南極観測基地である、昭和基地に納めた製品も。

こちらの写真が、昭和基地へ納めた燃料タンクの製造の様子です。

工場に潜入!

鉄骨の部品加工

こちらは部材工場と言われており、鉄骨の色んな部品をここで作っています。

このように鉄板をカットしたり曲げたりしたものが鉄骨の部品になります。

組み立てを行う床に直接設計図を描く!

部品を組み立てる場所では、床に糸のようなものを使って線を引いています。

使うのは中に白いインクが入った「墨つぼ」という道具。
インクを含んだ糸を引き出し、床に向かってはじくことでまっすぐな線を引くことができます。

そうして描いた、原寸大の図の上に部品を並べてつくるのが、同じパーツをつくるための型、「矯正型」

膜構造建築物には、同じパーツを何個も使っているんです。

型の中に部品をセットして鉄骨の「仮溶接」(部分的に溶接を行う)を行います。

本溶接

本溶接の作業に入ります。本溶接で気を付けないといけないのは、鉄が曲がらないようにすることです。

鉄は片側だけに溶接部分があると、熱による膨張と冷却による収縮で曲がってしまいます。

溶接の際、このような「変形」を防ぐために工夫していることがあるんです。

逆方向に曲げて溶接する

このように板を挟んでパイプを曲げます。
溶接によってパイプがどのくらい曲がるかを予測して、それとは逆向きに曲げて溶接することで仕上がりがまっすぐになるそうです!

この曲げ加減は、細かい計算式があるわけではなく、過去の経験で加減を行っているんです!

予め曲げて溶接したもの(左)と、そのまま溶接したもの(右)を見比べると一目瞭然!こんなにも違ってくるんです!
感覚的にどのくらい曲げたら良いかということをとらえている結果、まっすぐになっているというのは凄いことですよね。

仮組検査

こうしてできた鉄骨のパーツは問題なく組みあがるかチェックする「仮組検査」を受け、一度分解。

専門業者による亜鉛メッキ加工

その後、専門の業者が亜鉛メッキ加工を行います。

縫製工場へ移動!

工場の中はとても広いです!
奥に白いシートが広がっていますが、これはテントのシートを切る前の準備のために広げています。

カットする部分に線を引く

広げたシートに寸法を手書きで描いていきます。

シートをカット

ちなみに裁断も手作業!両端から切り進めていきます。

高周波ウェルダーでシートを溶着

こちらは「高周波ウェルダー」という機械で熱でシートを溶かし、シート同士をつなぎ合わせます。

骨巻きをミシンで縫い付ける

お次は「骨巻き」と呼ばれる部分を工業用ミシンで縫い付ける作業。

骨巻きというのは、鉄骨に紐と巻き付けて固定する部分のことです。

なぜ操業用ミシンで縫い付けていくかというと、風に煽られるため強度が必要になるからです。ミシンだと糸を縫い付けているので、非常に強度が上がります。

このように部分ごとに機械を使い分けてシートの形をつくっているんですね!

シートをミシンで縫ったあとに実はもうひと工程こちらの作業が!
ミシンで縫う以上穴が空いてしまうため、そこから水が漏れだしてしまいます。

ミシンの縫い目の上に、熱で付けることができるテープを貼り「水漏れを防ぐ」ようにしています。

ミシンの縫い目がどこにあるのか、パッと見て分からないくらい綺麗にカバーできています。

様々な工夫をしてつくられたシートと鉄骨は検査を受けた後発送されます。
現地で組み立てられて、立派な膜構造建築物の完成です!

三研工業 井口さん 「当社は歴史が55年ありますので、培ってきた技術を活かして作っております。素直に真面目にテントを作っていきたいと日頃みんなで言っています。そこを明日も思いながら仕事を続けていきたいと思っています」

【2023年3月16日放送 かちかちPress 工場walkerより】

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