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2023.09.04

オーダー受注可!こだわり技法で映える家具も 諸富町「門田木工」

佐賀市諸富町にある「門田木工」

諸富町は福岡県の大川市とともに「家具の町」として発展してきました。

先代であるお父さんがおこした木工所を、3人の兄弟とお母さんで引き継いで経営しています。
こちらが代表取締役の門田陽一さん

こちらの工場では、主にタンスやワードローブを製造しています。

特徴は「少量多品種生産」

タンス・チェストをオーダーで受注しています。
奥行きや引き出しの深さなど細かいオーダーも受けています。
これまでにオーダー家具を1万通り以上作っていて、全国の販売店に出荷しています。

オーダー家具を受注する木工所は珍しくありませんが、門田木工では一般的にはオーダーに向かないと言われる"ある技法"を使って注文を受けています。

収納家具の材料には「木ダボ」を使うのが一般的な組み立て方法となっています。

門田木工では、木同士が組み合わさる方式でオーダー家具を作っています。
そのカギを握るのがこの板です。

木同士の凹凸がかみ合うことで非常に強く接合!

門田木工はこの「組む」技法で作る家具のオーダーを受けています。

プレス機で力を加えて強く接合させる

タンスの引き出しを組み立てていきます。
手作業で組んだあと、機械で力を加えて強く接合していきます。
一段ずつ、引き出しを組み立ています。

この技法には名前があり「蟻組み」といいます。

切り込みの形が蟻の頭に似ていることから命名されたと言われています。
機械や釘がない時代からの接合方法で、強度は木ダボの倍ともいわれています。

見た形が「鳩のしっぽ」に見えることから英語圏での呼び方は「ダブテール(鳩のしっぽ)」と呼ばれているそうです。
この手のかかる蟻組みを使った引き出し作りに、「門田木工」がこだわる理由がありました。

代表取締役 門田陽一さん「オーダー受注を始めた最初の頃は、量産向きの『木ダボ』を用いて接合していました。しかし、引き出しはタンス類の中で一番動かすことが多い部分で、角がひとつでも緩むとひずみが増し、全ての角がバラバラになってしまいます。引き出しは非常に大事な部分なので『蟻組み』を使いたいという想いがありました」

手間がかかり少量多品種生産に向いていない蟻組みでしたが、蟻組みの凹凸加工が可能な機械を導入したことで、蟻組みとオーダー家具製造の両立に成功しました。
機械を導入したことでオーダーに応じたサイズ展開に対応できるようになりましたが、木ダボをした接合に比べると手間はかかってしまいます。
それでも、丈夫な引き出しを作ることにこだわり、丁寧にニーズに応えています。

こちらが出来上がった製品です。

引き出しには全て蟻組みが使用されています。

見た目も美しく、強度もあるしっかりとしたタンスです。


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「見えない部分」で引き出しの強度を支えてきた蟻組みをデザインとして、「見える部分」に前面に打ち出したシリーズも生まれました。

とてもナチュラルな見た目で、角丸加工を施したシリーズとなっています。

角が丸いデザインは、工場長がアップル社製のスマートフォンを参考に発案しました。


代表取締役の陽一さん「せっかく3人兄妹が同じ会社にいるので『自分たちの商品を作ろう』『先代に負けないように』と励んでいます。新しい商品、新しいタンスも大事ですが、蟻組みを使った別の分野、新しいシルエットの家具など喜んでもらえるものを提供していきたいなと思っています」

工場長の匠さん「ちょっとでも幅広い年齢層の方に親しんでもらえる商品を目指して頑張ります」

創業者である先代の門田洋さんが、「蟻組み」で家具を作っていたそうです。

先代が15年ほど前に「いつかまた蟻組みで家具を作りたい」と言い、それを実現するために家族みんなで考え、蟻組みの凹凸を切り出す機械を見つけて蟻組みを復活させたのだそうです。

 

職人の方の技術力、そして門田さんご一家の温かさがつまった「蟻組みタンス」です。

【2023年8月31日放送 かちかちPress 工場walkerより】

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