“青”だけで300種類以上!陶磁器絵具を製造する 有田町「深海商店」
やきものの里・有田町にある「深海商店」
深海商店が製造するのは、陶磁器に使う絵具や釉薬です。
「呉須(ごす)」
陶磁器の染付に使われる青~黒の下絵具
美しい「青」が特徴の下絵具・呉須だけでも、微妙な色の違いで沢山の種類を製造。
呉須だけで300種類以上を製造しているんです!
一体どんな方法で、300種類の「青」を生み出しているのでしょうか。
そして、そもそも「呉須」とは何なのか?
工場に潜入して、その秘密に迫ります!
呉須の主成分は、コバルト
ニッケル・マンガン・鉄などと調合
0.01%の単位で調合し、300種類以上の呉須を製造しています。
緻密な計算で300色を作り分ける、呉須の製造工程を見学!
原料の金属を調合・混合する(主成分:コバルト)
まずは、呉須の原料である、コバルトなどの金属を、注文にあわせて細かく計量し、機械で丁寧に混ぜ合わせます。
混合した原料を3日間かけて焼成する
混ぜ合わせた原料を結晶化させるために3日かけて窯で焼きます。
混合した原料を焼成すると「青色」になりました!
3日かけて焼いて、カチカチに硬くなった原料を、次は…?
3日間焼成して結晶化した原料を粉砕
原料の時はサラサラで、焼成してカチカチにしましたが、次はまた砕いていきます。
焼成した原料・石・水を装置に入れて回しながら砕く
「砕く」工程で使うのが、こちらの装置。中には…
こちらは釉薬。同じような仕組みで行っており、1週間~2週間かかります。
呉須作りには「省けない手間」がたくさん!
呉須作りは、とにかく手間と時間がかかります。
焼く工程で3日→粉砕の工程で1週間~2週間→水切り2週間
そして粉砕が終わって、水切りのためにさらに約2週間程かかります。
このように放置して、分離して浮いてきた水を捨てたり自然に蒸発するのを待って、含まれる水分量を減らします。
その後は…
水切りした原料を 石臼で細かく擦る
石臼擦り後の粒子の大きさは、1マイクロメートル=1ミリの1000分の1!
擦ったものを戻して、何度も繰り返し擦ります。
まだこちらは序盤で1週間ほどかけて作業を行います。
石臼は硬いもので出来ていますが、かなりすり減っているそう。
石臼擦りの工程を経て、滑らかな描き心地の呉須になります。
究極のなめらかさと美しい青を生み出すために手間ひまを惜しまず、完成まで約1カ月ほどかかります。
丁寧な作業を繰り返して生まれる呉須は、全国で500以上の窯元などで使用されています。
また、呉須を陶磁器の下絵具としてだけでなく、アクセサリーの材料としても使っています。
呉須をアクセサリーに変身させているのは、アクセサリー作家の山口みずえさん。
深海さんからの依頼に、山口さんが答えた形で誕生しました。
Q.出来上がったジュエリーを見てどうでしたか?
深海さん「感動しました。焼き物だけだと気に入ってもらえる人が限られますが、ジュエリーになることで、ジュエリー好きの方にも呉須の魅力を知ってもらえるので、とても良いことだなと思います」
ジュエリー以外にも、アパレルや雑貨にも「呉須」を使って展開しています。
深海さん「有田焼は売り上げがピーク時の8分の1になっていて、有田焼の再興をして、歴史と伝統を未来につなげていけたらなと思います」
【2023年12月21日放送 かちかちPress 工場walkerより】
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