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2024.03.03

有田焼の老舗ブランド 有田町「香蘭社」器の美しさのベースは形作り

有田町にある「香蘭社」
有田焼の老舗ブランドです。
会社の取っ手が「有田焼」です。

壁の装飾など、様々な場所に有田焼が使われています。

今回は、有田焼を作っている工場に潜入します。

1879年、九州で最初の法人企業となる「香蘭合名会社」として設立し、今年で145年になります。
多種多様な有田焼を生み出し続けています。

陶土

有田焼のもととなる陶土は、「天草陶土」を使用。砕いた石から作られています。

1本20kgもあるんだそうです!

自然の物なので香蘭社では品質を保持するために「技術・開発部」で品質をチェックしてから使うそうです。

その昔、職人の間では驚きのチェック方法があり「口で確かめていた」とのこと。

陶土と水などを混ぜ 泥漿を作る

その陶土を水などと混ぜて「泥漿」と呼ばれる状態にします。

通常、ろくろのようなもので形作るイメージをしますが、手作業のろくろだと時間がかかっていまうため、
製品に合わせて様々な成型方法を用意しているそうです。

排泥鋳込み

その成型方法のひとつが泥漿を使った「排泥鋳込み」という手法です。
泥漿を型に流し込んで成型する方法です。

ただ、こちらの作業はただ入れるだけではなく、気泡などが入らないよう慎重に流し込むのがコツだそうです。

いまの状態をイラストで表すと、こんな感じに。

石膏型に泥漿が流されました。

ここで時間を置くと、石膏型に泥漿の水分が吸収され、型の内側に、土の厚みができます。
この部分が、製品になります。
充分な厚みが出来たら、余分な泥漿を流し出します。
そして残った部分を焼くと、磁器になります。
排泥鋳込みは、花瓶や骨壺を作る時によく使われるそうです。
製品の特徴や製造量にあった製法を使う

他にも、同じように「型」を使って複雑な形や模様を表現できる方法や、ろくろを使う成型も行われます。

こうして丁寧に形が作られた香蘭社の製品ですが、焼く前に形を整えるとても大切な工程があります。

「香蘭社の形が決まる」工程へ

先ほどの鋳込みで乾燥した製品は「骨壺」です。
焼成前に形を整える「削り仕上げ」

これから余分なところと、表面を仕上げていきます。

早速、余分なものを取っていきました。
この部分は蓋の合わせ面になるところです。
蓋が合わないということがないように手作業で削っていきます。

削り仕上げは「香蘭社の形はここで決まる」と言われるほど非常に高いスキルが必要となる工程です。

どんどん滑らかになっていきます。

焼き上がってしまうと後戻りできない「香蘭社の形を作る」最後のチャンスです。
成型の工程が「要」となってくるそうです。

とても綺麗でズレがなく美しいです。
これぞ「香蘭社さんの技」です。

削り仕上げの前後を比べると、その美しさは 一目瞭然!
この「削り仕上げ」が完了すると…
「素焼き」

1回目の「焼き」である 「素焼き」へ

下絵付け

素焼きをして、ほんのりピンクになったところに、製品によっては下絵付けを行います。

釉薬がけ

その後、「釉薬」をかけて、二度目の焼き工程に進みます。

「本焼成」

二度目の焼き工程「本焼成」


その「本焼成」で使うのが、こちらの「ハマ」

焼くときに製品の広がりなどを防ぐための道具として、湯飲みやカップ類などと一緒に焼くことで曲がりを防いでいます。

昔、ハマは有田の川などに落ちていて子どもの遊び道具にもなっていました。
水切りならぬ「ハマ投げ」や、有田ならではの皿を使った競技として、「皿かぶり」があるそうです。


本絵付け

本焼成で「焼き」の工程が終わったら、最後の仕上げです。

繊細な作業で本絵付けを行って完成です。

「香蘭社」有田本店

素晴らしい磁器がたくさん置いてあります。

香蘭社 川尻さん「先輩達から受け継いだ伝統を守り、品質・技術ともに更なる向上を目指し、世界中の方々に喜んでいただけるような製品づくりをモットーに日々精進して参りたいと思います」
【2024年2月29日放送 かちかちPress 工場walkerより】

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