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茶の生産者が栽培「西洋野菜」を新たな特産品へ
お茶の農家が閑散期を活用して栽培する「西洋野菜」を嬉野市の新たな特産品へ。
先月下旬、嬉野市で初めて収穫されたこの野菜。「紫キャベツ」ではなく西洋野菜のトレビスです。
茶畑が広がる嬉野市。お茶に加えて、新たな特産品の発掘を目指し、4つの西洋野菜が誕生しました!
鮮やかな赤紫色をしたトレビスとカリフラワーの仲間・ロマネスコ、小指ほどの細さが特徴のバーニャカウダ、そして、渦巻き状の断面が美しいビーツです。
嬉野市農業政策課 橋口浩さん:「どうしても嬉野市といえばお茶なんですが、お茶農家の収益を上げていくことで、全国的に栽培されていない野菜がなにかないかなと。お茶の作業が忙しくない時を狙って取り組んでいます」
茶農家 田中和則さん:「11月から2月の初めごろまでは農閑期。冬はお茶が終わったらそれでもう終わりです。あとは何もないので西洋野菜を作って孫のために何か買ってやりたいなと」
去年10月に始まった試験栽培。3つの農家と1つの農業法人が取り組んでいます。
嬉野市の気候や土地に合うよう水や肥料の配分を工夫し、ようやく収穫にこぎつけました。
こうして収穫した西洋野菜の行先は、そのほとんどが「市場」ではありません。
嬉野市農業政策課 橋口浩さん:「ほぼ100パーセント近くは直接事業者に行くようにしてます。作ったから売れる時代ではないので必要とされているものを作っていきたい」
もともと茶農家の収益を上げようと取り組みが始まった西洋野菜。
橋口さんは、農家に安心して野菜を作ってもらおうと福岡県などの料理人約30人に聞き込み、その中で需要があり単価の高かった西洋野菜に狙いを定めました。
茶農家 田中和則さん:「できはしたけどどこに販売するかと。そこらへんは生産者はできないので行き先があるということは取り組みやすくはありました」
嬉野産の西洋野菜の多くは福岡県などのホテルに直接送られます。
ソラリア西鉄ホテルやオリエンタルホテルなどでは、提供に向けて現在、試作を重ねています。
課題は、安定的に供給できる生産量の確保と販路開拓、そして「嬉野産の西洋野菜」というブランドの確立です。
嬉野市は今年1月、北九州市の青果市場と協定を結びました。こうした課題の解決が狙いです。
ところで、地元でもこの西洋野菜を食べられるところがあります。
嬉野温泉の老舗旅館吉田屋が運営するカフェ「嬉箱」。曲がったり折れたりした西洋野菜を購入し、先月から提供を始めています。
トレビスとビーツの葉を使用したサラダや、ビーツとロマネスコのソテーを添えた一品、特に形が悪かったビーツは甘みを活かしたソースにしました。
kihaco「嬉箱」藤川勇太料理長:「形とか大きさがバラバラだったり見た目は悪いんですけど味は美味しいので。なかなか佐賀に西洋野菜を作っている所がなくて洋食を作ってる人にとってはすごくありがたい、誇りになると思う」
始まったばかりの嬉野産西洋野菜の生産プロジェクト。新たな特産品として、農家の経営安定化に一役買うのか注目です。
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