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2022.05.16

有田焼や伊万里焼って何から作られている?佐賀の"焼き物"を支える「香田陶土有限会社」

陶磁器の原料 "陶土"を作る「香田陶土有限会社」

有田焼、伊万里焼などの「陶磁器」は「陶土」と呼ばれる粘土で出来ているんですが、実はこの陶土も、県内の工場で作られているんです。「陶土」を作り続けて133年、嬉野市の『香田陶土有限会社』にお邪魔しました。

人間国宝である井上萬二さんも、香田陶土を愛用されているそうですよ!

陶土の原料 陶石

白いほど等級が高く、赤くなるほど等級が下がります。

人間国宝の井上萬二さんも愛用する、一番上のクラスである、最高級の陶土作りを追いました!

それでは工場に潜入!!!

みがきの作業

1番良いクラスの陶石から、さらに赤い鉄分を取り除く作業をしています。より白くすると真っ白な原料になります。この、鉄分を取り除く作業をみがき作業といいます。
みがき作業は、力の加減が本当に難しく、熟練した職人の技術と「手作業」がどうしても欠かせないとのこと。作業を行っているのは、勤続40年の大ベテランの職人さんです。

 

みがき作業が終わった陶石は 次の「粉砕」の工程へ

スタンパー

ここで活躍するのがこの、スタンパーという装置。約13時間、杵でおもちをつくように、陶石を「つき」続けて、細かい粉末にします。
以前は水車を使って、「杵でついて粉砕していた」という事なので、工場が川沿いにあるとの事でした。。

粉末を水に溶かす(石・砂 異物除去)

粉末になった陶石は次の工程で、水に溶かし込まれていきます。
機械でよく撹拌しながら、粒の粗い石や、砂を沈殿させて取り除きます。

取り除いた石や砂は無駄がないように、前の工程に戻して、もう一度スタンパーでついて粉末にします。

この工程も、職人の方がその日の水温や気温を見て水量を調節するなど、職人の経験と勘が重要なのだそうです。

 

 

こうした工程を通じて、ミルキーなものが出来上がってきました!

泥しょう

陶石の粉末が溶け込んだもの

この状態から水分を抜いて”粘土”となっていきます。

泥しょうを脱水

そして、この泥しょうは「脱水」の工程へ

フィルタープレス

フィルタープレスに泥しょうを送り込み、圧力をかけて、水分を絞り出します。真っ白だった泥しょうから、透明な水分だけが落ちていきます!

これにより、泥しょうは水分量18%、板状の粘土になります。受注先によっては、この板状のまま出荷されて行くそうです。

成形・硬度の調節

そして最後の工程へ…!

真空土練機

陶土中の空気を抜き円筒状に成型

発注に応じて、筒の大きさを変えることができます。

このような工程で、香田陶土では、特上のほかに、選上・選中と、主に3つの等級の陶土を作っています。等級が上がるほど白くて純度が高くなります。
特上陶土

陶石の白い部分のみで作られた最高級の陶土
1日に使う陶石は5~6トンで、そのうち特上陶土は2%しか取れません。

このように希少な陶石から、純度の高い陶土を作り出す、職人の経験と技術が、佐賀の伝統工芸「焼き物」を支えているわけなんです。

天草陶石

最高級の陶土を作り出すこの陶石は、天草陶石。他の産地の陶石は、いろんなものを混ぜて陶土を作りますが、天草陶石は石だけで粘土ができる、世界的にも珍しい陶石なんです。

いかに純度の高い陶土を作り出せるかが、職人さんたちの腕の見せ所。伝統と技術を守り続ける香田陶土でした。

【2022年5月12日放送 かちかちPress 工場walkerより】
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