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2023.02.08

"がん"の先端治療施設「SAGA HIMAT」を取材 体への負担が少ない新しい治療法とは?

2月4日は世界対がんデーです。
テーマは『「世界対がんデー」企画 佐賀のがん先端治療施設を取材』

前回は「がんの現状」について話しています
今後がん患者は増えるかもしれない… 毎年がん検診を受けましょう

現在、がんの治療は様々な方法があります。
主な治療方として【外科治療】【薬物治療(抗がん剤治療など)】【放射線治療】があります。

今回はこの中から【放射線治療】にフォーカスしていきます。

鳥栖市にある、九州国際重粒子線がん治療センター「SAGA HIMAT(サガハイマット)」。

全国に7か所しかない"先進放射線治療施設"のうちの1つです。

こちらのグラフは「SAGA HIMAT」の各年度の治療患者数です。
2022年12月末日までの累計で約7800人います。
毎年おおむね右肩上がりで、全国の重粒子線施設で6年間トップとなっております。
まずは、塩山センター長にお話を伺いました。
重粒子線がん治療は、放射線治療の一種です。
使う放射線が"従来"は「X線」「ガンマ線」などでしたが、重粒子線がん治療は、がんの病巣に集中的にエネルギーを投与できて、副作用が従来の放射線治療に比べると非常に少ないというのが特徴です。
放射線治療

放射線でがん細胞に損傷を与え、死滅させる治療法です。

なぜ副作用が少ない?

X線やガンマ線などの放射線は、体の表面近くでエネルギーが最大となって突き抜けていく性質があります。
しかし、重粒子線は体の奥の方でエネルギーが最大となります。

体の奥に行くにつれ線量が高くなります。体の奥に「線量のピーク」を合わせます。

がんの病巣を「線量のピーク」の場所にうまく調節してあげれば、高い精度で集中的に照射できます。
このような理由で、周辺の臓器・組織を傷つけにくく、副作用が少なくなります。
体を切らずに済む治療なので、手術に比べると体への負担が少なくなり、高齢の患者や合併症がある患者でも治療が可能になります。

有効な治療である事はご理解いただけたかと思いますが、難しいお話ですので、一旦お話を整理します。

重粒子線は、ある一定の距離に放射線のピークを持ってくることができるので、その性質を利用しています。重粒子線治療は、まずがんの立体的な型を取って、上下左右のその部分にだけピークがくるようにセッティングし、集中的に照射してがんを除去する方法です。
そのため患部にのみ作用し、肌や周りの臓器を傷めずに、通院のみでの治療を実現しています。

ご紹介した重粒子線治療ですが、すべてのがんに使えるというわけではありません。

では、どのようながんに有効なのか教えていただきました。

重粒子線はどのようながんに有効?

末藤副センター長にお話を伺いました。
「SAGA HIMAT」では前立腺がんの治療が一番多いそうです。
重粒子線は、動かない臓器のがんに強いそうです。

治療例.1 70代男性 肺がん
肺の中の中枢側にあるような場合は、従来ならがんを切除するために肺をたくさん取らなければなりません。
重粒子線をピンポイントであてることで、ほぼきれいになくなってしまっています。

治療例.2 30代女性 舌根部がん
舌の奥にできたがんです。
食べ物もなにも通らない状態だったそうです。
従来の治療なら、のどごと全部取ってしまうしか治す方法がありませんでした。
しかし、重粒子線をピンポイントに当てて治療しました。この方は治療から8年が経っていますが、仕事も復帰して普段通りの生活に戻ったそうです。
重粒子線を当てたあとは、このように綺麗にがんが無くなっています。

重粒子線治療が不向きながんとは?
不向きながんは、胃や大腸などの動く臓器だそうです。
また、脳腫瘍は安全性の点から治療不可能だそうです。

それ以外の場所に対しては、国の制度によって複雑化しています。

遠慮なく電話などで「治療できますか?」と聞いてほしいそうです。


「先進医療」適用部位

食道がん・肺がん肝細胞がん(長径4㎝未満)・腎臓がん・子宮がん(頸部腺がん以外)・転移性腫瘍(肺・肝・リンパ節の少数個転移)

「公的医療保険」適用部位

頭頸部腫瘍(頭蓋底腫瘍を含む)(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)肝細胞がん(長径4㎝以上)肝内胆管がん・膵がん・子宮がん(頸部線がん)大腸がんの骨盤内再発前立腺がん・骨軟部腫瘍

※赤字の部位は「切除非適応の腫瘍」

【治療の対象とならないがん】

  • 白血病のような血液のがん
  • 広範な転移のあるがん
  • 胃がん、大腸がん 不規則に働く臓器のがん など

がん治療のヘルシーヒント

治療の選択肢は広がっている
新しい治療を知っておこう
まずは早期発見・早期治療

【2023年2月1日 かちかちPress いきいきヘルシーヒントより】

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