守られた伝統技術 ~戦時中の陶都有田~(再放送)
第二次大戦中、有田は苦しい時代を迎えていた。有田焼の生産は軍需に限られるようになり、民間には出回らなくなった金属類の代用品の生産が主となった。鍋・釜から洗面器、水筒、湯たんぽ、ボタン。敗色が濃くなった戦争末期には手りゅう弾や紙幣に代わる陶貨の試作まで行うようになっていた。
一方で、磁器発祥の地としての伝統技術を残すため、国は1942年に「技術保存認定制度」通称『丸技(マルギ)』を制定。原料や燃料の優先的な配給、職人の出征免除に加え、販売価格統制を緩めるなどの優遇措置をとった。
有田では柿右衛門窯、今右衛門窯、香蘭社、深川製磁の4団体と2個人が認定された。当時の『丸技』製品の質の高さ、技術の高さには、現役の有田の職人も驚かされるという。
生きることさえままならない戦時中、有田焼の伝統技術はいかにして守られたのか。置かれた環境下で最善を尽くし、仕事に取り組んだ職人たちの矜持とは。
証言や資料からその歴史を紐解くことは、400年の歴史を持ち、再興を目指す有田にとって先人たちからの大きなメッセージになるはずだ。
(2015年8月に放送した番組の再放送です)
【サガテレビ制作】
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