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2019.12.03

包丁鍛冶職人 向米雄さん

包丁鍛冶職人・向米雄さんをご紹介します。
唐津市呼子町に浮かぶ小さな島・加部島で和包丁を作っている鍛冶職人の向(むこう)米雄さん。

「火加減が一番気になる。 火加減が過ぎたら1本の包丁も溶けてしまう。 もう勘ですよ。16歳の時から見てきてるから。」そう話す向さんは、約60年もの間、包丁を作ってきました。
長年積み上げてきた熟練の技で、1つ1つ丁寧に手作りで作り上げる和包丁。その包丁を求め、全国各地にあるミシュランの星付き和食店や寿司屋などで腕を振るう、一流の料理人が工房を訪れます。

向さんは「使ってみて『いいですよ』と言われた時は、やっていてよかったなと思う。最高に嬉しい。」と、職人としての喜びを話します。

加部島で生まれ育った向さんがこの仕事と出会ったのは15歳の時。両親の勧めで、農具や漁具を作る呼子の職人の元に弟子入りをしました。
約4年修行した後、もっと技術を高めたいと修行に出たのが刃物の本場・大阪の堺市。 そこで、様々な技術を習得し40歳の時独立を果たしました。 その後、52歳の時に地元・加部島に戻ってきました。

一般的な包丁は鉄と鋼を貼り合わせて作ります。 しかし、向さんが手がけるのは、繊細で高度な技術が求められる、 1枚の鋼から作る水本焼き和包丁です。20以上ある工程を、全て1人で行います。

焼きを入れない所には泥を厚く、入れる所には薄く塗る。そうすることで刃文ができるそうです。
包丁をより固く鋭くするために炉に入れて熱した後、一気に冷やします。冷却には油を使うことが多いのですが、向さんが使うのは水。より切れ味が鋭くなるからです。
しかし水を使うとその加減が非常に難しく、少しでもタイミングが合わないと割れてしまいます。 世界でも数える程の職人しかできない技だと言います。
向さんは「難しいのは確かに難しい。やっぱり温度とタイミングが大事。慣れても最後までやるまで失敗はつきものだから。 10枚やって半分くらい。 油焼きにはない水焼きのきゅっと縮まる、それが最高の切れ味になる。」と和包丁作りの難しさを語ります。

今後について「あんまり上手にはものを言えないけど、いい職人さんに使って頂きたい。精一杯自分の仕事をやって、いい物を作っていきたい。」と話してくれました。

向刃物製作所
電話番号:0955-82-4459

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