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2020.05.06

久留米絣職人 下川強蔵さん

久留米絣職人・下川強蔵さんをご紹介します。

福岡県八女市で久留米絣を織る下川織物。ここで作られている久留米絣は、江戸時代から続く綿織物です。

下川織物3代目として家業を継いだ、下川強臓さんです。

「ほとんどは、実は手作業の部分がすごく多い。機械を使う部分ももちろんありますけども、機会が自動的に作業してくれるわけではなくて、人が操作する。人力の部分をモーターで補う。基本的に人の手、人の感覚で最後まで作るのが久留米絣ですね」と作業の大変さを語る下川さん。

糸のアク抜き、染色、糊付け、天日干しなどの30以上の工程は、ほとんど手作業で行われます。

「機械で精密な括りの技術を持っている。モーターのついた動力織機で織ることができるっていうのは、実は今は世界中見ても久留米絣しか残ってない技術なんですね。」と話す下川さん。

「すごく密度が不均一なんですね。なんでかっていうと柄を合わせながら織っていくことを重視して織っていくので、密度だけでいうと部分部分で若干ズレがある。そのことによって生地が柔らかくなって肌に馴染むというか。不完全さの中に美しさっていうか気持ち良さがあるっていう特徴がありますね。」と仰いました。


久留米絣は着心地が良く、着物や布団、農作業着のモンペなど、広く庶民に親しまれてきました。

いま久留米絣で作ったマスクが、そのつけ心地の良さで人気を博しています。

「自分の内側から溢れ出てきたものを織物にしている感覚があって、作曲家の人が曲を作ったりするのと同じ感覚で織物を作っていきたいっていうのがある。その感覚っていうのが、すごく自分の中でこだわっているところ。」と、こだわりを話す下川さん。

そんな下川さんの作品は海を越えています。
「いろんなところに伝わるようになってきた中で、意外と海を越えて海外にまで伝わるっていうのがちょっとずつ増えてきまして、英語が話せない分だけ、“縦糸と横糸で会話している”っていう感覚が身についてきたんですね。」

「縦糸と横糸で世界中の人と対話する。これが僕が久留米絣職人として今後もずっとやっていく、自分自身のライフスタイルっていうか、下川織物の事業方針っていうか、広めて伝えていくっていうことでは、海を越えて海外まで行ってもいいのかなって思いまして。それは今後もずっと続けていきたいと思います。」と仰っていました。


円と円が重なって、広がっていく。それはまさに人と人が繋がっていく様を表現していて、下川織物がつくる“七宝柄(しっぽうがら)”にも、その思いが込められています。

最後に下川さんは「僕はこの七宝柄のようにずっといろんな人との御縁を重ねて広げてって久留米絣っていうのを伝えて将来に残っていくものにさせたいっていう気持ちがすごく強いですね」と今後の事を語られました。

下川織物
住所:福岡県八女市津江1111-2
電話番号:0943-22-2427

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