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稲の大敵トビイロウンカ 今年は1カ月早く飛来確認 防除のポイントは

2021/06/22 (火) 19:40

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さがリサーチ、今回はコメ農家を悩ませる害虫「トビイロウンカ」について。取材を担当した川浪記者です。

 去年、佐賀でも大きな被害が出ました。稲を枯らす害虫、「トビイロウンカ」。体長は4ミリから5ミリの非常に小さな虫で稲にのみ寄生し茎から水分や栄養分を吸い取って稲を枯らします。ベトナム北部から中国大陸を経由し毎年6月から7月の梅雨の時期に温かく湿った南西の風に乗って飛んできます。9月末まで世代交代を繰り返しながら増殖します。今年は、トビイロウンカが日本にやってくるのが例年より1カ月ほど早くすでに佐賀でも確認されました。去年、県内で大きな被害が出ただけに、県農業技術防除センターには早くも緊張感が高まっています。

 毎年、コメ農家を悩ませる害虫「トビイロウンカ」。例年6月から7月にかけてまとまって飛来しますが、今年は5月10日の福岡県を最初に、西日本を中心に例年より早く確認が相次いでいます。【佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部・菖蒲信一郎部長】「今年はやはり梅雨入りが早かったせいもあり、(県内でも)5月11日に1匹既に飛んできている」トビイロウンカは数が増えると、稲がまとまって枯れる「坪枯れ」を起こします。稲の水分や栄養分がなくなってしまい、収穫量が大きく減少してしまいます。

 【佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部・菖蒲信一郎部長】「ウンカが飛んでくる気象条件は、梅雨前線が九州の北部より少し上にかかっているとき」「(去年は)梅雨前線がかかったままずっと居座っていた。ウンカが飛んでくる条件がずっと続いていた」去年、県内では大きく3度の飛来があり過去10年で最も飛来数が多いとして3年ぶりに警報を発表、深刻な被害に見舞われた農家もいました。

 【佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部・菖蒲信一郎部長】「ネットトラップと呼んでいる中国大陸の方から風に乗ってやってくる。稲の害虫トビイロウンカをはじめとするウンカ関係が風に乗ってダイレクトキャッチされる」「今から下ろして中身を回収する」「まさにこいのぼりを上げ下げするような感じ」県農業技術防除センターは、県農業試験研究センターと協力しトビイロウンカの飛来数を調査していて、今年は5月から佐賀市や嬉野市など県内3地点にトラップと呼ばれるわなを設置しています。【佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部・菖蒲信一郎部長】「パッと見て、ウンカ関係の仲間はこの中には含まれていないようです」こちらもその一つ、ライトトラップと呼ばれるわなで夕方になると白熱灯が自動点灯し明かりによってきた害虫などを回収します。

 トラップの中身は回収後冷凍処理され、その日のうちか翌日に仕分けされます。【佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部・白石祥子さん】「こういう大きいのは、ウンカの調査のときにはたくさんあると見づらい」大まかに肉眼で見たあとルーペで種類別に分け、さらにトビイロウンカなのか顕微鏡で確認します。似ているものもいることから、間違いがないよう慎重な仕分けが必要になるといいます。県農業技術防除センターは、トラップの結果と天気図を組み合わせて、飛来してきた日を総合的に特定しています。

 しかし厄介なのが…【佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部・菖蒲信一郎部長】「7月上旬に仮に飛んできたらそのあと第一世代いわゆる子供の世代、1カ月後くらいに第二世代、孫の世代、そして9月以降にひ孫の第三世代という形で上手く対策を取らないと爆発的に増殖してしまって残念ながら稲に被害を与えてしまう」一カ月サイクルで世代交代しながら増殖していくのもトビイロウンカの特徴です。発育のスピードは気温で異なるため、飛来日と気温のデータから各世代の発生時期を予測しています。果たして今年は?【佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部・菖蒲信一郎部長】「5月の時点で1匹飛んできたということは(既に中国大陸に)トビイロウンカがいる、条件が整ってしまうと断続的に飛んでくる心配があるので、われわれも緊張感を持ってトラップ調査とモニタリングを実施している」「日頃の天気図などでも“飛んできているかもしれない”と意識していただいて、状況に応じて柔軟にしっかり観察してもらうことで必要最小限の防除でしっかりコメも取れることに結びつく」

【キャスター】必要最小限の防除という話がありましたが具体的には?
【川浪記者】防除の「タイミング」が重要です。一番いいタイミングは卵からふ化したばかりの「幼虫」のときです。発生予測図の例を使って具体的に見てみます。同じ日にトビイロウンカが佐賀にやってくるわけではないので、幼虫になる時期も少しずつ違います。より効果的に防除するためには、より多くが幼虫になっている「幼虫ふ化揃い(そろい)期」のタイミングで薬剤を散布し、一網打尽にするのがもっとも効果的だといわれています。

【キャスター】幼虫が揃う時期の見極めが大切なんですね。
【川浪記者】ただ、水田によって状況は異なるそうなので、水田の観察に加え、県農業技術防除センターがホームページに害虫の飛来情報や防除のタイミングなどを掲載していますので、参考にしてください。本格的なシーズンはこれからです。防除するタイミングをしっかりと見極め被害を食い止めましょう。

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