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電気は“売る”時代から“ためて自分で使う”時代に 太陽光発電に加え「蓄電池」の需要高まる【佐賀県】

2023/06/29 (木) 18:40

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シリーズでお伝えしているサガリサーチ。今回は値上がりする電気代についてです。背景にはロシアによるウクライナ侵攻などによる燃料価格の高騰があります。一方、国のある制度の事情も重なり、太陽光発電に加え、電気を蓄えておける「蓄電池」の需要が県内でも高まっています。

【飲食店経営の男性】
「(店舗の電気代)ざっくり(月に)7、8千円は上がったような感じはするんですよね、高くはなったっていう実感としてあります」

【女性】
「なるべく家族で同じ部屋にいたりとか、ちゃんとドア閉めたりとか、クーラーの効きを良く、あとこまめに電気消したりとかは子供たちにも言い聞かせてます」

全国的に値上がりする“電気代”。ウクライナ侵攻などによる石油や石炭、天然ガスといった燃料価格の高騰が影響しています。そんな中、少しでも電気代を抑える策として注目が集まっているのが、太陽光発電に加え発電した電気を蓄えておける「蓄電池」です。

【県産業グリーン化推進グループ 佐保幸伸推進監】
「電気料金が高いというような課題はまだありますし、脱炭素経営への意識の高まりということもありますので、今後も太陽光発電の設備の導入でありますとか、蓄電池の設備の導入といったものには需要があるのではないか」

去年7月から今年4月まで佐賀県は、県内の中小企業が太陽光発電や蓄電池を設置する場合、1社につき最大875万円の補助金を出していました。
1年足らずの間に受け付けた申請は138件。このうち117社に補助金を交付し、約4億3500万円の予算上限に達しました。

【県産業グリーン化推進グループ 佐保幸伸推進監】
「電気料金の負担を軽減したい、再生可能エネルギーのひとつということでそれ(太陽光発電)を導入したいということが声としては多かったです」

小城市の老人ホーム「ふぉれすと小城」です。

【ライフサポートNEO 江口裕太さん】
「電気料金の負担軽減と企業活動のグリーン化を図ると同時に、電力を少しでも自らまかなえるように今回設置しました」

今年2月、施設を運営する「ライフサポートNEO」は県の補助金を活用し、太陽光パネルと蓄電池を設置。年間約135万円電気代を削減できると見込んでいるほか、高齢者施設ならではのメリットも感じています。

【ライフサポートNEO 江口裕太さん】
「停電した際には蓄電した電気を復旧までに使用することで利用者さまに安心して生活していただけると考えています」

一方、一般の家庭ではもともと太陽光パネルがある家に、新たに蓄電池を設置する動きが広がっています。

「災害時、停電があったときとか太陽光で(つくった)電力で何日間か停電を(しても)過ごすことができるということが一番のメリットでしょうね」

2007年に太陽光パネル付きの家を建てたという神埼市の男性。今度は蓄電池を設置しました。その大きな理由は国のある制度にあります。

【自宅に蓄電池を設置】
「太陽光(発電)つけて10年超えたので“売電価格”がかなり安くなったと、売るよりは自分のところで使った方が良いというような考えがあった」

みなさんは「FIT制度」をご存じでしょうか?各家庭の太陽光発電などでつくられた余剰電力を国が定めた価格で電力会社が買い取る制度で、2009年から始まりました。
太陽光発電の場合、ご覧のように設置した時期によって1キロワットアワーあたり48円、42円など、最初の10年間は売電価格が固定されます。しかし、10年を過ぎると…
現在では1キロワットアワーあたり7円と、売電価格は大きく下がってしまうんです。

【アースアクト・福島貴博さん】
「売電単価がもちろん下がったというところもあるかと思うのですが、近年電気代の高騰というところで自宅で発電した電気が自宅で、自家消費ができるような設備を整えたいというところで(問い合わせが)増えているのかなと思います」

省エネのコンサルタント事業などを手掛ける佐賀市のアースアクト。2016年ごろから蓄電池についての問い合わせが増えているといいます。
一般家庭でも企業でも需要が高まってきていますが、安いものでも設置費用まで含めて200万円から250万円ほどはかかるといいます。

【アースアクト・福島貴博さん】
「高額な商品でもあるため(売電などで金銭的に)元を取ることは難しいかと思います。蓄電池はあくまでも日々の電気代の削減や、自然災害対策といった太陽光で発電した電気を効率よく使用するための設備となります」

FIT制度の10年を過ぎた太陽光発電、近年被害が相次ぐ災害、さらには電気代の高騰…。様々な要因が重なり、電気は“売る”時代から“ためて自分で使う”時代に変化しているのかもしれません。
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