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上峰町 ふるさと納税返礼品「九州産シャインマスカット」一部が偽装問題 背景は【佐賀県】

2023/11/16 (木) 18:40

上峰町がふるさと納税の返礼品として出品した「九州産」のシャインマスカットの一部に「長野県産」などが入れられ、産地が偽装されていた問題。背景には、従来の趣旨と逸脱したふるさと納税自体が抱える問題点がありました。

昨年度、ふるさと納税の寄付金額全国6位となっている上峰町が、今年度から返礼品に加えたシャインマスカット。「九州産」と表示されていますが実は…全体の1割弱にあたる約4.8トンが長野県や岡山県で生産されたものが含まれていました。
先月末、関係者からの情報提供で発覚。偽装した青果仲卸業者がサガテレビの取材に応じました。
佐賀市の青果仲卸業者2社が9月後半から先月にかけて行った産地偽装。2社はそれぞれが仕入れた「長野県産」「岡山県産」のシャインマスカットを産地が書かれた段ボールから取り出し白い段ボールに移し替えていました。

Q現在の心情は?
【業者】
「大変申し訳ないという気持ちですね」

シャインマスカットの送付について国と協議していた上峰町からの指示が10日ほど遅れ、仕入れのタイミングがずれたため、当初予定していた質の良い九州産のマスカットが用意できなくなったといいます。

Q産地偽装をした理由は?

【業者】
「物が良くないの(九州産)を送っても結局レビューが悪いと来年度からの仕事ももらえなくなるんで。そういうのもあって2人で話していいところの産地のやつを入れようかという話に(なった)」

来年度からの仕事がなくなることを恐れていたという仲卸業者。東京都中央卸売市場で山梨県産シャインマスカットの卸値は、8月上旬時点で1キログラムあたり約1700円。今回仲卸業者が納品した51トンの出荷量で換算すると8600万円をこえる売り上げになります。
巨大な市場となったふるさと納税。過熱する背景には自治体が普段の税収を超える額の寄付金を得られることがあるといいます。

【桃山学院大学経済学部 吉弘憲介教授】
「今のふるさと納税の大きな問題点は、非常に相対的にたくさんの寄付額を集めてしまう自治体がでてきている。例えばその自治体が一年間で集める税収の3倍とか4倍とか、(税金は)使うから集めるというのが大前提なんですね。鉄則です。ふるさと納税はそういうことを無視してお金を集める集金マシーンのような形になってしまっている」

上峰町の歳入は今年度予算で約158億円。一方、ふるさと納税を受け入れる額は2021年度は45億円で全国で20番目に多かったのが、翌年度の2022年度は108億円で全国6番目と大幅に増えています。

Q上峰町に供給できないといえなかったの?
【業者】
「やっぱり(言うのは)厳しいですよね自分たちも受けたからには、やっぱり出さなきゃいけないし結局自分たちは下請けなので、上の業者さんの方の顔にも泥を塗るし」

また、費用面でもブドウの名産地長野県産などを使うことで利益が少なくなります。

Q輸送コストとか考えたら採算あわないんじゃないか?
【業者】
「合わないですね」
Qこうなると考えてなかった?
【業者】
「(当時は)出荷するのが一生懸命だったというのが…やっぱり」

一方で、同業者からは「産地偽装は絶対にやってはいけないこと。ほかの業者が迷惑」と憤る声も上がっています。ふるさと納税の返礼品は地場産品の商品。つまりその地区で生産したものに限るというルールがあります。ただ、地区内で主要な製造や加工をした一部の商品は、地場産品として認められるため、返礼品の種類が多岐に渡る今、返礼品として認められるか各自治体のチェック体制が重要になります。
しかし上峰町では、今年に入り、牛肉の返礼品を依頼していた福岡市の精肉販売業者と久留米市の食肉卸・加工業者が、県外の和牛を「佐賀県産」と産地を偽装。相次ぐ産地偽装に、今月上旬、「楽天ふるさと納税」が、町の全ての返礼品の受け付けを一時停止しする事態となっています。
一連の産地偽装について町の担当者は、「これまで出荷管理表や商流確認書、産地証明書などの確認を毎日行っていた」「業者に対し定期的に抜き打ちで調査を行い事業者の意識管理を徹底していく」とコメントしています。

チェック体制、町と業者との関係、膨れ上がった市場。主に3つの問題が原因と推測される上峰町の産地偽装問題。しかしふるさと納税をめぐる問題は上峰町だけのものではなく、吉弘教授は寄付金額の制限を設けることで、各自治体が業者を管理でき、市場も制限されると指摘します。

【桃山学院大学経済学部 吉弘憲介教授】
「寄附受け入れ額の上限を各自治体が設ける。これを守ることで、産地偽装みたいな形で農産品が獲れなかったから、よそから仕入れてこなければみたいなそういう問題もかなりコントロールできるのではないか」

本来は税収が集中する都市から地方へ税が配分され、生まれ育ったふるさとを支援するために作られたふるさと納税。その初期の精神が薄れ返礼品目当ての意味合いがメインとなるなか、改めてその制度のあり方が問われています。
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