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【終戦企画】自宅から見えた柿色のキノコ雲 原爆投下を海越えて目にした100歳の女性に取材【佐賀県】

2024/08/06 (火) 18:40

戦争の記憶を次の世代に語り継ぐため、体験者の話を今回からシリーズでお伝えします。きょうは長崎の原爆投下を海を越え目にした100歳の女性です。

【實松ミサヲさん】
「ドロドロっていうような音がしたです。そしたら空からこうしだれのごとなってきてキノコ雲が」

佐賀市川副町に住む實松ミサヲさん100歳。筑後川沿いの大野島で生まれ育った實松さん。アメリカをはじめとする連合国との総力戦となった太平洋戦争開戦から約2年後の昭和18年、1943年まで洋裁学校に通っていましたが、徐々に戦争に巻き込まれます。

【實松ミサオさん】
「どうして入ったろうかと思うくらいです軍服のところに」

日本は物量で勝る連合国に押され、食料や物資が乏しくなり、實松さんも学校どころではなくなり、終戦の1年前から佐賀市の軍服工場で働くことに。

【實松ミサオさん】
「一生懸命して、防空頭巾かぶって行きよったから。B29きよったです、うんうん、もう、もうそろそろきよったんですよ、たまにピューンてきようと」

日本本土を空襲していた爆撃機B29におびえながら通った工場では、当時としては貴重な“純毛”が使われていました。当時、食料や衣類、生活必需品は軍が優先されていました。

【實松ミサオさん】
「純毛ばかり将校服ですからね、それを縫いよったような気がします。うわー将校ちゅう人こげんかよか服着らんばいかん?いうて言いよったですもんね」

その後昭和20年1945年半ばにはアメリカ軍の日本本土への空襲が激化。工場は閉鎖され、實松さんは自宅で過ごすことになります。

【實松ミサオさん】
「(工場は)閉めたっちゃないですかね、それからがですねひどかったです、よう防空壕いきました。堤防の下に父が穴掘ってくれた、そこにござしいて隠れとりました」

アメリカ軍は爆撃のほか民間施設にも攻撃を加えるいわゆる機銃掃射を頻繁に行っていました。機銃掃射を間近で感じたことは今も鮮明に覚えています。

【實松ミサオさん】
「ちゅーんっていう音したから、あらなんでってそしたら後で井戸のあるところの脇に(弾が)落ちていたんですよ。びっくりして足の震えが止まらんやったですもん、弾見てからですね、はあこれが飛んできたと思って」

そしてある夏の日、いつもと違う光景を目にします。

【實松ミサオさん】
「今日の爆弾は違うばいあれはって父が言いました」

1945年8月9日、アメリカ軍が長崎に原子爆弾を投下。その年の年末までに7万3千人余りの命が失われたとされています。爆心地から60km以上離れた實松さんの自宅でも原爆のいわゆる”キノコ雲”が見えたといいます。

【實松ミサオさん】
「柿色の薄いようなですね色できれかったです、モクモク雲じゃない、きわーっとしとります、それがこうすだれのごとく落ちてく。今日は、今日の爆弾の違うばりはつって言って、父が言いましたもんね。はあ、そうね、それだけはほんと頭にこう残っとですね」

長崎への原爆の投下後、空襲は収まり6日後に終戦を迎えます。

【實松ミサオさん】
「ほっとしたやないです、もぬけの殻ですね、あんなことだけは馬鹿なことやなと思うんですね、もうこの戦争ちゅうのは」

戦時中は将校のために軍服を作っていた實松さん。終戦後は家族のために服を作るようになります。

【實松ミサオさん】
「作るのが好きで、上手にはできんけど作るのが好きで(ひ孫の)おばばって来るかっこうが可愛くてですね、それでそれに作ってやろうと思って」

11人のひ孫にめぐまれた實松さんですが、家族に戦争体験を話したことはほぼないそうです。

【實松ミサオさん】
「思い出したくない、あんまり言いたくないです、もうもうこれで最後です、ほんとにもうあんなことは嫌だと思います。戦争だけは絶対にやったらいかんと思いますね」
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