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「帰ってくると信じていた」シベリア抑留者の遺骨 極寒の地から故郷へ“80年ぶりの帰還”【佐賀県】
2024/08/15 (木) 18:19
シリーズでお伝えしている終戦企画。
今回は戦争で叔父をなくした遺族の男性です。15日で終戦から79年。出征しシベリア抑留中に亡くなった叔父の遺骨が80年ぶりに佐賀へ帰ってきました。
「西村壽弥男様の御遺骨でございます、どうぞお引き取りください」
【西村正紘さん】
「遺骨は還ってきて本人はほっと胸を撫で下ろしていると思う。安らかに眠ってくださいというほかない」
吉野ヶ里町に住む西村正紘さん83歳。
父親の弟にあたる叔父の西村壽弥男さんを戦争で亡くしました。
出征前、小学校で代用教員をしていた壽弥男さん。
やさしい人で甥の正紘さんを、とてもかわいがっていたといいます。
【西村正紘さん】
「壽弥男さんの日記が出てきて姉さんが読んでくれた、おもりしながら小学校へ行ったか、そういう言葉が出てきた、私をおもりしたと」
1944年昭和19年、壽弥男さんは徴兵検査を受け、19歳で中国大陸へ出征。
そのまま帰らぬ人となりました。
当時は中国で戦病死したと聞き葬式をあげましたが、壽弥男さんの母は息子の帰りをずっと待っていたといいます。
【西村正紘さん】
「祖母が毎食陰膳をあげてこれ壽弥男さんのと、それと裏の戸は鍵を閉めたらいけない、いつ帰ってくるかわからないから、亡くなったということではなくていつか帰ってくると信じていた、それを覚えている」
ところが戦後77年経った2年前、正紘さんのもとへある知らせがー。
国の調査で、壽弥男さんがシベリアで亡くなったことがわかったのです。
太平洋戦争終戦の直前にソ連、現在のロシアは日本と結んでいた条約を破り中国東北部などへ侵攻し、とらえた日本兵などを、極寒の地で強制労働させました。
いわゆるシベリア抑留です。
約5万5000人が帰国できず死亡したといわれています。
壽弥男さんも連行されイルクーツク州の収容所の病院で1945年昭和20年12月に死亡していました。
【厚生労働省の担当者】
「ソ連邦政府から提供を受けたソ連邦抑留死亡者名簿といわれる資料になります」
海外などで戦没した人の遺骨を収集し遺族へ届ける活動を行っている厚生労働省。
記録が残る1991年から昨年度末までに1659人分が返還されています。
担当部署ではロシア語の資料を翻訳し名前や出生地などの情報を集め、日本側の情報と照らし合わせて身元を特定します。
国が収集した遺骨から壽弥男さんのものとみられる遺骨も見つかりました。
【厚生労働省の担当者】
「他では名前が少し歪んでいたり離れていたりそういった事例が多かったが西村壽弥男というふうにきれいな名前が残っていたと。これはやはり大きなポイント」
さらに「サガ・カンザキ・ヒガシセフリ」と当事者が関わっていないと書けないような出生地の記載など有力な情報が集まったことから正紘さんへの連絡につながりました。
【厚生労働省の担当者】
「1人でも多くの人の特定作業を進めることによって、遺族の思い・心に寄り添うかたちで特定できたという知らせを届けることができれば幸いだと考えている」
今年6月、DNA鑑定などを経て壽弥男さんの遺骨が帰ってきました。
「西村壽弥男様の御遺骨でございます、どうぞお引き取りください」
「ありがとうございますいろいろとお世話かけて本当にありがとうございます」
ふるさと佐賀へは80年ぶりの帰還です。
【西村正紘さん】
「ほっと笑顔を見せているのではないか、私たちもそう思うことで救われる」
「家族や一族にとってはずっと身内を待っていたので夢が実現したというか、それはもう関係者の皆様にありがとうと言うよりほかない」
8月12日、お盆を前に正紘さんは孫たちと西村家の墓へ。
遠い極寒の地シベリアで亡くなった壽弥男さんは、帰りを待ち続けた母と共に静かに眠っています。
【西村正紘さん】
「壽弥男さんもほっとしとんしゃっかな」
「ゆっくり休んでくださいという言葉が一番、いろいろつらかったことはあるだろうがふるさとを思う気持ち、自分の生まれ育った家を思う強い気持ちがわが家へたとえ骨になっても遺骨になっても帰ってこられたのではないかと思う」
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