2024/09/04 (水) 18:19

シリーズでお伝えしている「かちスポ」。
今回は、国スポ佐賀代表のハンドボールチームです。8月の全国大会で初出場ながら優勝した注目のチームですが、3年前までは部員が5人と試合もままならない状態でした。チーム躍進の理由と強みを取材しました。

神埼市を拠点に活動するハンドボールチーム佐賀クラブ。
国民スポーツ大会で成年女子佐賀代表として出場します。

【亀川雅主将】
「国スポでは私たちらしく試合をして5位入賞できるように頑張ります」

8月滋賀県で開かれた全国大会、ジャパンオープン。
各地区の予選を勝ち抜いた16チームが出場するこの大会で、佐賀クラブは初出場ながら日本一に輝きました。

【亀川雅主将】
「全国大会ということで、相手も分からなかったんですけど、やっぱり自分たちは挑戦者という気持ちで試合に挑みました」

【中本和宏監督】
「こういう攻めをしていこうこういう守り方をしていこうっていう話し合いの中でそれを試合の中で100パーセントパフォーマンスできたっていうのが結果につながったと思う」

佐賀クラブの選手は佐賀市を中心とした20代から40代の15人。
週に2回ほど練習しています。

【中本和宏監督】
「1番はみんな元気がよく仲が良いところが良いと思います」

練習中に笑い声が響くほど明るいチーム。
一方、プレーごとに練習を止め真剣な表情で意見を出し合います。

「ワイド開いて入るとかそういうバランスを」
「ボールを見ずにシュート打つってなったら戻るっていう切り替えだけ早めにしていこう」

【亀川雅主将】
「年齢差があるんですけど、みんなが言い合える環境っていうのを大事にしているので、とても良いチームだと思う」

戦術面での強みは、堅守速攻。
得点を奪われた後や相手のミスがあれば、素早いパス回しで、全員がゴールへと向かいます。

【亀川雅主将】
「ディフェンスから速攻まで走ることを大事にしているのでそこが強みかなと思います」

全国優勝と波に乗るチームですが、ここまでには大きな苦労がありました。

【田中茜選手 入部8年目】
「勝ちたい気持ちはすごい強かったんですけど、人手不足で勝てないという悔しさが続いていました」
Q.当時チームの雰囲気は？
「今ほどみんな仲が良いというかわいわいできている雰囲気ではなく練習をしていました」

ハンドボールは、ゴールキーパー含め7人で行うスポーツ。
しかし、キャプテンの亀川選手が入部した3年前は、部員はわずか5人でした。

【亀川雅主将】
「助っ人を借りてぎりぎりの状態で試合をしてました。勝てたら奇跡のような感じでした」

チームに大きな変化があったのは去年。
富山県の実業団でプレーしていた岩見春海選手の加入や、レッドトルネードSAGAの元選手中本和宏さんの監督としての就任です。

【元実業団選手 岩見春海選手】
「トップを目指しているところから来るとハンドボールに対する知識だったり経験の部分で少しギャップがあったんですけど、みんなが今まで知らなかったところをたくさん知ろうとするところがあってスキル的なところで判断力の幅が広がったのかなと思います」

Q.何されてるんですか？
【亀川雅先生】
「5年生の算数の授業の準備をしています」

亀川選手の仕事は…小学校教諭。
夏休み期間のこの日は授業の準備や備品の点検などをしていました。

【亀川雅選手】
「こどもたちが夏休み中でいないのでボールに名前を書いたり、点検をしています」
Q.仕事との両立はどうですか？
【亀川雅選手】
「最初は大変だったんですけど、国体まであと少しなので頑張ります」

佐賀クラブの選手たちは、ほぼ全員、県内で働きながらハンドボールに打ち込んでいます。
そのため同じ日に集まることが難しいのが課題です。

Q.特に難しい部分は？
「団体競技なのでフォーメーションとか決められたことを共有するのが難しい。1人がそのポジションだけじゃなくてそこのポジションにこだわらずに色んな人が色んなポジションをしてカバーしている」

もう一つの課題は練習時間の確保です。

【亀川雅主将】
「ジュニアも体育館を使ってて時間が限られているので最初はウエイトをして練習をしています。自主練したりジムに行ったりしている選手はたくさんいます」

国スポまであと1カ月。
残りの練習時間も限られる中でチームが強化しているのがこのシュート。
枝と呼ばれる相手ディフェンスのブロックとキーパーの延長線上からシュートを放つことでキーパーの死角からゴールを狙います。
堅い守りと速攻に加え、死角から放つシュートで得点の量産へ。
ハンドボール成年女子の試合は10月10日から始まります。

【亀川雅主将】
「相手が強いチームばかりになると思うんですけど私たちらしく試合をして5位入賞できるように頑張ります」