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「夢を乗せて進んでほしい」閉校する唐津市の切木小学校 地域交流に取り組む男性【佐賀県】

2025/02/10 (月) 18:40

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シリーズでお伝えしている、佐賀で奮闘する人を紹介する佐賀人十色。今回は今年度で歴史に幕を閉じる唐津市の切木小学校の35年前の卒業生で、子供たちの体験活動など今も地域交流に取り組んでいる男性を取材しました。

【児童】
「一月のめあては身だしなみを整えましょうです。頑張りましょう」

めあてを読み上げて1日が始まる唐津市肥前町の切木小学校。全校児童は41人。教室には広すぎるほどのスペースがあります。

【前田勝久さん】
「結構教室いっぱいになっていました。今は結構空きスペースが多いのでだいぶ減ったなというのは感じます」

教室を覗きながらこう語るのは35年前にこの切木小学校を卒業した肥前町に住む前田勝久さん(48)。切木小学校は1900年・明治33年に開校し、この町の多くの子供たちがこの学び舎で過ごしてきました。しかし、児童数はピークの頃より250人近く減少し3月、126年の歴史に幕を閉じます。

この日、前田さんの姿は6年生の教室にありました。切木小学校では2年前から卒業制作として花壇づくりをしています。その提案をしたのが、切木地区で建設業を営む前田さんです。

【前田勝久さん】
「地域貢献されている会社を見て、うちでも何かできないかなとずっと考えていた。花壇くらいならできるのかなと思って地域貢献してみたいと思ったのが始まりです」

開校した明治33年からこれまで約5200人が切木小学校を巣立ちました。最後の卒業生はこの教室にいる6年生7人です。そのうちの一人は前田さんの息子、幸廣くんです。
前田さんの会社で勤務する職人の力も借りながら会社全体で子供たちのサポートをしています。

【児童】
「セメントで埋めたりするのが大変だった。切木小学校が閉校しても切木の街が色鮮やかになっていたらいいなと思います」

花壇のデザインにもこだわりがあります。「切木小」の文字と児童が絵付けした陶板は唐津市の伝統工芸品、「唐津焼」です。

【前田勝久さん】
「私が小学生のころ、唐津焼がどのようなものか全然身近でもないし、わからなかった。将来、県外に出たときにどういうところ?と聞かれたら唐津焼があるよと自慢してもらえたらいいなと」

これまで3年間で制作した花壇を並べ列車を作ろうと計画している前田さん。夢を乗せて進んでほしいという願いが込められています。

【前田勝久さん】
「ここに花を植えることで、その花をエネルギーにしてもらって子供たちに進んでいってもらいたいなと」

【児童】
「卒業前に素敵な思い出が増えました。僕も大人になったらゆっきーのお父さんのように、切木地区のために何かできる人になりたいなと思いました」

暗くなると切木の街を明るく照らすのは、列車の形をしたイルミネーション。こちらも前田さん自らが提案し、2年前から全校児童で制作しています。花壇と同様、子供たちの夢を後押ししています。
前田さんの小学校での思い出の場所は、学校のすぐ近くにある畑です。

【前田勝久さん】
「クラスのみんなで一緒に芋を植えて秋になったら収穫した記憶がある」

地域の人の協力でいまも毎年開催されているという農業体験。前田さんは、切木地区は地域で子供を見守るまちだと話します。

【前田勝久さん】
「この芋掘りも地区の方が子供たちのためにという思いで、苗を提供されたり畝を立てたり、大人になって汲み取ってもらって、できることをできる範囲で還元してもらいたいなと思う」

前田さんの息子は4人兄弟。全員が小学校6年間を前田さんと同じ切木小学校で過ごしました。

【前田勝久さん】
「運動会。昔はみんな靴買えなかったんだよ。嘘よ。結構裸足で走る人多かったよ」

長男の貴央さん(21)も一緒に懐かしい小学校時代を振り返りました。

【前田貴央さん】
「僕の小学生のころは70人くらい。今は50人くらい?」
【前田幸廣さん】
「今は41人」
【前田貴央さん】
「めちゃめちゃ減った・・」
【前田幸廣さん】
「お父さんたちのときが一番多かったのかな」

最後に卒業を控えている幸廣くんは、まだ閉校する実感は湧かないと話します。

【前田幸廣さん】
「切木小学校がなくなるのはとても寂しいけど、またみんなと会えるから、体育祭が人数増えて、中学校はいろいろな種目があるからそういうのが楽しみ」

切木小学校は閉校後、近くの小学校と合併し高峰小学校として新たな一歩を踏み出します。卒業制作の花壇は地域の人や子供たちがいつでも見られるように閉校しても毎日子供たちが通学した交差点に残ります。

【前田勝久さん】
「(花壇の花を見て)ずっと応援してるよということを感じてもらいたい」

閉校式は3月22日に開かれます。
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