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2021.02.15

ニュースここ掘れ「コロナ差別を考える」

コロナ差別問題 その背景は?

新型コロナウイルスに感染した人たち、感染者だけでなく医療従事者や感染者が出た学校などへの誹謗中傷や差別が絶えません。かつて、ハンセン病やエイズ患者に対する、差別問題もありました。今回の「ニュースここ掘れ」では、こうしたコロナ差別問題について、サガテレビの宮原解説主幹と考えます。

<宮原解説主幹>

人間は、差別する人、差別しない人、という単純な二分法ではなくて、人間だれもが持つ差別の根っこみたいなものが、一定の環境のなかで突然、表に出てくると思うんですね。その背景は何なのか。日本ならではのものなのか。法哲学が専門で、人権や差別問題に詳しい、佐賀大学教育学部教授の吉岡剛彦さんにインタビューしました。

サムネイル

<インタビュー>

佐賀大学教育学部 吉岡剛彦教授 × サガテレビ 宮原拓也解説主幹

【宮原】

「コロナ感染者を敵視したり、誹謗中傷したり差別問題を考えてみたい」

【吉岡】

「日本では感染した人に自己責任を求める風潮が強い。ハンセン病の問題、エイズの問題のときもそうでしたが、感染者に対して感染したことについて責任を追及する風潮が強い」

【宮原】

「病イコール穢れという見方をする。日本独特なのか」

【吉岡】

「そうですね。ハンセン病は長らく天刑病、天の罰、仏罰と長らく誤解されてきた歴史があり、昨年の大阪大学の調査では欧米諸国と比較して日本では病気に感染することを自己責任ととらえることが諸外国に比べかなり高いと言われているので、ある意味、悪い悪しき伝統として感染を自己責任ととらえる、あるいは罪ととらえる見方が長らくあると言わざるを得ない」

【宮原】

「背景として健康至上主義、行き過ぎた潔癖すぎも背景にある?」

【吉岡】

「健康増進法という法律ができたあと、生活習慣病という名前もそうだが、本人の節制が足りないという形で、生活習慣病になることを本人の生活規律が足りないと、病気にかかった本人も批難するような風潮を生んだ法律として、一部には批判もある。健康増進法が出来たことによって、病気が本人の責めに帰すべき問題であるかのように考えてしまう風潮をどこかで助長しているかもしれないなと思う」

【宮原】

「いわゆる実名、学校であるとか個人の実名はでないが学校や保育所、事業所こういったものがオープンになるというのはいかが?」

【吉岡】

「実名報道の問題はこれまでは犯罪被害者の問題とか、加害者を含め議論されていると思う。今回は感染者、あるいは感染した場所の公表だが、学校でクラスターが発生した場合、学校の場合は商業施設とちがい、ある程度生徒、教職員、保護者を含め関係者の範囲が限定されるものなので、公表する必要があるかは厳しく吟味されるべきだと思う」

【宮原】

「佐賀県、福岡県はクラスターはすべて発表一方で、東京とかは数が多いからいちいち発表しない。田舎ほど実名が出て、都会は出ない」

【吉岡】

「地方でこそ、クラスターが発生したときに特定されることで誹謗中傷、差別の被害に遭いやすいということを考えると、行政当局がどこで発生したということを特にマスコミ関係者の人に公表するということは検証するために必要かもしれないが、それをそのまま報道に載せてテレビで放送したり新聞の紙面に載せたりすることは各報道機関がしっかり検討して慎重に判断すべき」

インタビューを終えて

<宮原解説主幹>

私もテレビにかかわる人間として、忸怩たる思いです。マスコミ本来の正確な報道、公正な報道という大義が、感染者を傷つけていないか、感染者に寄り添っているか、を真剣に考えなければならないと思います。

 

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