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「災害の記憶(再)」 石碑に記された“浸水” 筑後川流域の大規模氾濫 「もう海やった」【佐賀県】

2022/03/11 (金) 07:00

東日本大震災から11年。しかし今も被災地の苦悩は続いています。
想定外の甚大な災害。その記憶を忘れず、今後の防災に生かしていこうと、サガテレビでは「災害・私の記憶」をシリーズで放送を続けています。
災害の記憶を風化させないため、過去に放送した内容を改めて掲載します。

≪2020年11月11日 放送≫
シリーズでお伝えしている「災害・私の記憶」。
昭和28年1953年の大水害、いわゆる“28水”は県東部を流れる筑後川の流域でも大規模な氾濫が起きました。
鳥栖市には当時どれくらいの高さまで水に浸かったかを記録する石碑があります。

【県防災士会・本山和文さん】
「これは“28水”のあとに作られた水害復旧記念碑なんですけれども、後世のために当時の水深がここに記されているんですよ」

鳥栖市酒井西町にある水害復旧記念之碑。
昭和28年(1953年)のいわゆる“28水”の際、どれくらい水に浸かったかが分かる記録が残されています。

【県防災士会・本山和文さん】
「全戸軒下浸水の未曾有の災害って書いてあるんですね。元々ここら辺周辺は水害常襲地帯ではあったんですけれども、それでも未曾有って書いてあるように今まで経験したことがないような大きな災害だったっていうことですね」

当時をよく知る地元の住民に話を聞くことができました。

【地元の住民(79)】
Q「このへんはもう全部浸水した?」
「全部、もう海やった」
Q「浸水するまでってどういう状況?」
「早かったね~早かった。ずーっと切れ目なしに降りよった。八坂橋のところから我々は藁や材木を集めていかだでここに帰ってきた」

300メートルほど離れた酒井東町にある石碑には。

【県防災士会・本山和文さん】
「石碑の上の方見ていただくとかなり高いところに横線が入っているのが分かりますか?あの位置が当時の浸水深なんですね。ちょっと見ただけでびっくりしますよね。こんなに水が来るのかっていうね」

約8年前から県内各地の災害遺産を調査している県防災士会の本山和文さん(62)。
過去の災害に目を向けることの重要さを訴えます。

【県防災士会・本山和文さん】
「災害っていうのは同じような場所で同じような災害が繰り返し起きているんですよね。ですから過去の災害を知るっていうことは将来の災害に備えるっていうことでもあるんですね」

元々県職員だった本山さん。
2011年の東日本大震災で宮城県気仙沼市の被災地に派遣されました。
そこで目にしたのが各地に残っていたかつての昭和三陸大津波や明治三陸大津波を伝える石碑でした。

【県防災士会・本山和文さん】
「その碑には教訓が書いてあります。“地震が来たら津波の用心”とか書いてあるんですね。まさにそうした伝承とか先人のメッセージ、こういったものが失われたときに次の災害がやってくるんだぞということだと私は思っています」

2019年3月までの鳥栖市の洪水ハザードマップです。
今回取材した“28水”当時の浸水の水位を示す石碑がある酒井西町や東町は、最大でも1メートル程度の浸水想定になっていました。
現在は改訂され、最大5メートルの浸水を示す、うすい赤に変わっています。

【県防災士会・本山和文さん】
「“1000年に1度”程度の豪雨を想定して、それで浸水域を作りなさいということで、ここらへん一帯、5メートルとか3メートルとか、それくらい浸水しますよっていうような表示になっています。古いハザードマップしかお持ちでない方はぜひ新しいハザードマップで自分の浸水域っていうのを自分の家の周りのことを考えて見ていただきたい」

本山さんによると県内には99カ所に災害の発生時期やその種類が明らかな遺産があります。
特に多いのは71カ所と全体の7割を占める水害に関するものですが、「それだけではない」と本山さんは警鐘を鳴らします。

【県防災士会・本山和文さん】
「私が県内で探した中で見つからなかったのは津波の碑と火山災害の碑だけなんですね。それ以外の災害の碑は県内至るところにあります。水害とは決めつけずにその地域ごとにある災害リスクというのを認識して災害に備えていただきたい」

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豪雨、地震、大雪…近年激甚化する災害。過去の教訓を防災に生かしていこうと、県民のみなさんの災害の記憶をシリーズで掲載します。

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