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医療用ウィッグとして届ける“ヘアドネーション” 記者も体験 実際受け取った女の子は【佐賀県】

2024/01/25 (木) 18:40

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毎週木曜日はサガリサーチα、きょうは髪の毛を寄付する“ヘアドネーション”について。"がん"などで髪が抜けてしまった子供たちへ医療用ウィッグとして届ける活動です。県内ではどれくらい普及しているのか、また実際にウィッグを受け取った女の子を取材しました。

【吉川明莉さん】
「もらった時は髪の毛が戻ってきたみたいでうれしかった」
【吉川寛子さん】
「命が守られただけでもと考えもするが、やはり髪の毛が戻ってきたという気持ちですごく明るくなって」

伸ばした髪の毛を寄付するヘアドネーション。寄付した髪は医療用ウィッグの素材となり、抗がん剤治療などで髪が抜けてしまった子供たちへ届けられます。

【パルサポートキッズの会 山下健一郎代表理事】
「少しでも明るく闘病生活を過ごしてもらって早く学校に行ける、笑顔で行けるようにしてあげること。これが1番私たちがやらなければいけない使命かなと思って活動している」

佐賀と福岡を中心に活動するNPO法人パルサポートキッズの会です。ヘアドネーションを募り、小児がんや白血病などで髪を失った子供たちにウィッグを無償で提供しています。これまでに提供した数は2017年の設立から500人以上に上ります。

【パルサポートキッズの会 山下健一郎代表理事】
「人毛の方が当然自然なウィッグに仕上がるが、子供対象のウィッグなので機能性を考えて人毛とファイバーといわれる化学繊維で、一般の毛のように作られたものとミックスした状態でウィッグを作成している」

医療用ウィッグで重要なのは子供が使うことを考えた“自然さ”と“使いやすさ”。すべて人の髪でつくるとかなり自然に仕上がり一目ではウィッグだと分からないほどですが、かぶると重かったり、手入れは理美容室に頼む必要があったりと扱いが難しい問題があります。一方、人工の毛と混ぜるとその分軽くなるほか自宅で洗えるなど手入れが楽になるといいます。
また、パルサポートキッズの会がもう1つ大切にしていること、それは“提供までのスピード”です。

【パルサポートキッズの会 泊みゆき事務局長】
「早いということですごく驚かれる、すごく助かりますと。修学旅行や卒業式に子供も安心して出られましたという声がとても多い」

つらい思いをしている子供たちに少しでも早く届け希望を持ってもらいたい。申し込みがあればすぐに対応できるよう常に在庫を確保し、10日から2週間程度で届けられるようにしています。

【パルサポートキッズの会 山下健一郎代表理事】
「早く届けて安心させてあげる、それによって周りの家族や病室に入る看護師さんが応援してあげる気持ち、言葉がかけやすくなると聞いているので早くお届けするということは重要だと」

今回、実際にウィッグを受け取った小学生の女の子が当時の心境を話してくれました。

【吉川明莉さん】
「ウィッグって自分の髪の毛とどう違うのかなって思ったり、手触りなどがどんな感じなのかなと思ってちょっと不安だった」

吉川明莉ちゃん12歳。いまから4年前、小学2年生のときに小児がんを発症し、抗がん剤治療を受けました。病状は落ち着きましたが、明莉ちゃんを苦しめたのが髪の毛を失ったこと。

【吉川寛子さん】
「ただでさえ治療で頑張ってきたのに、その後もずっと髪の毛が抜けてしまったということで病気を直視してるような気持ちがすごくきついな、つらいなという気持ちがあった」

その時、送られてきたウィッグが希望の光になったと話します。

【吉川明莉さん】
「髪の毛が最初抜けていたので、もらった時は髪の毛が戻ってきたみたいでうれしかった」
【吉川寛子さん】
「命が守られただけでもと考えもするが、やはり髪の毛が戻ってきたという気持ちですごく明るくなって、病気も良い方向に向くという話も聞いたこともあるし、実際娘もすごく気持ちが明るくなったという経験もあるので、ぜひこれからもこういう活動が続いてもらえたらと思う」

一方、最近では耳にする機会も増えてきたヘアドネーションですが、対応できる理美容室はまだまだ少ないのが現状です。

【hair design COLORE 井原輝彦代表】
「体感としては(以前より)増えたのかなと、ただ佐賀県・佐賀市でみるともうちょっと知ってもらって増えてもらえると助かるというかうれしい」

佐賀市にあるこちらの美容室では10年以上前からヘアドネーション用のカットを続けています。どのようなカットをするのか、今回、記者が実際にヘアドネーションを体験してみました。

【長島記者】
「肩くらいなので31センチ以上ありますね。大丈夫だと思います」

ヘアドネーションは基本的に31センチ以上の長さが必要で、髪をいくつかの束に分けたあとヘアゴムできつく縛りその1~2センチ上を切ります。

【長島記者】
「4年くらい伸ばしていたのでとても愛着があったのですが寄付をしてこれが誰かのためになるなら勇気を出して切ってよかったなと思います」

切った髪は雑菌などが入らないよう密閉できる袋などに入れ寄付を受け付けている団体へ送ります。
一見、1人の髪の毛で1つのウィッグが作れるように見えますが、1つを作るのに必要な量はなんと30人から40人分。集まった髪の中から使えない毛を取り除いたり毛質をそろえたりすることになるためかなりの量が必要だといいます。

【パルサポートキッズの会 山下健一郎代表理事】
「今年は200人以上に無償でプレゼントしているが、このヘアドネーションだけでは到底対応できない」

必要としているすべて子供たちにウィッグを……。そのためにはヘアドネーションに対応できる理美容室、そして、寄付する人がもっと増えることが重要です。

【パルサポートキッズの会 山下健一郎代表理事】
「今後活動の輪を他の団体さんも含めて広げていって少しでも明るい子供たちが過ごしやすい環境の役に少しでも立てればと思って活動していきたいと思う」
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