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新幹線整備 佐賀県の負担軽減 与党の方策は?山本幸三衆議院議員インタビュー
2020/12/17 (木) 19:00
九州新幹線・長崎ルート問題のシリーズ企画。フル規格整備の場合の佐賀県の負担軽減策を試算していく方針の与党。サガテレビの単独インタビューで「その気になればほぼゼロにもできる」という発言も飛び出しました。その真意とは。
鹿児島本線などの在来線と山陽新幹線も乗入れる小倉駅。この小倉の街を地盤とする政治家、長崎ルート問題のキーマンに話を聞きます。
自民党の山本幸三衆議院議員。経済財政政策に長けるベテラン議員で、与党整備新幹線プロジェクトチーム・長崎ルート検討委員会の委員長を務めています。
Q新幹線とは、新幹線政策とはそもそもどういうものでしょうか?
山本幸三衆議院議員:「国の交通体系の中の重要な要素を占める、極めて基本的なインフラだと思います。したがってこれは、全国的にルートを張り巡らして、全国民が享受できる、そういうものでなければ意味が無いと思っています」
与党検討委員会は去年8月、新鳥栖-武雄温泉間について「フル規格整備が適当」とする方針を決めていました。
フル規格に反対する佐賀県は、今年6月から国交省との協議を始めましたが、議論は平行線が続いています。
山本幸三衆議院議員:「きわめて停滞していて、残念なことだと思います。私は去年1月に知事のところに個人で一人で行って、そして知事に直接、「フリーゲージが出来なくなったので申し訳ない」と。『ミニかフルで考えてもらうしかないので、一つよろしく』という事を直接伝えて、(知事は)『そういう話ですか』と。フル前提には出来ないと今頃言っているというんですが」
「大変無責任だし主体性が無いと言わざるを得ないと思っています。これは政治家としては大変残念な姿じゃないかと思いますね」
与党検討委員会は先月20日、新鳥栖-武雄温泉間をフル規格で整備する場合の佐賀県の建設費の負担について、軽減する方策を検討し試算していくと明らかにしました。
山本幸三衆議院議員:「フリーゲージがダメになったということを含めれば、やっぱりそれは国の方にもある程度の責任があるのだから、じゃあどれだけ軽減できるかという事を考えようじゃないかと」
国交省は、フル規格整備の場合の建設費を総額6200億円とし、そのうち佐賀県の負担を660億円程度とする試算を示しています。
山本幸三衆議院議員:「JR九州の貸付料というのがあるが、今30年で見ているわけです。これを50年なり60年に延ばせば、その分だけ貸付料が入ってきますのでこれはJR九州にある程度その負担を覚悟してもらなきゃいけないので、JR九州の納得が要りますけど、これが一つ。地方交付税の考え方で、その地方の財政状況について、50%から70%まで出来るという幅があるんですね。できれば70ギリギリまでできないかという事の工夫が出来るかどうかと。これは総務省と相当やり合わなければいけないが、その辺の可能性を探ってみようというのがあります」
建設費の総額から差し引かれるJRからの貸付料、または国からの地方交付税を拡大するという、2つの方策。
国交省の試算の計算式に単純に当てはめると、佐賀県の負担額は、450億円や350億円程度という数字も出てきます。
Q(佐賀県の負担額)どれくらいの数字までとか念頭にあるところが今あるとしたら、いかがでしょうか?
山本幸三衆議院議員:「そんなものは無いよ。それは佐賀県の県の情熱次第だろ」
山本氏は、『私案』として、さらなる軽減策に言及します。
山本幸三衆議院議員:「これは私一人の私案なんですが、本当にお金を出したくないんだったらタダでもできますよと」「地方分のところを民間資金をばっと使ってやればほぼゼロに近いこともできますよと。実はその民間の資金を「出してもいい」というところも私は見つけてある。投資してもいいと」「しかしそのためには佐賀県が本気になって、特別目的会社を作ってそこにお金を出してもらうとかそういうことも仕組まなきゃいけないので、県がもう本気にならないとできないんだけど、だけどその気になればできますよと」
山本氏は、来年通常国会が始まる頃から省庁とやりとりしながら与党内で本格的に軽減策を議論していくと話しました。
山口知事(12月2日県議会):「新幹線の事業費は先行きが見通せず、どうなるのかも予見できないものでして、新鳥栖-武雄温泉間も、少なくとも1千億単位で巨額な上振れをする蓋然性が高く」
北陸新幹線では、先月、トンネルの地盤でひび割れが見つかるなどして、金沢-敦賀間の建設費がおよそ2600億円増えました。試算の元となる建設費自体の上振れも懸念されます。
山本幸三衆議院議員:「たしかにこれまで時間置けば置くほど想定外の費用が掛かって増えたのもありますが新鳥栖-武雄の間はそんなにめちゃくちゃな山岳地帯を通るわけじゃないし、平坦なところであるので、あの、それほど僕は無茶に膨れ上がるような話ではないと思いますけどね」
費用負担とともに懸念される並行在来線の扱いについても聞きました。
山本幸三衆議院議員:「これはやっぱり佐賀県の懸念というのは妥当と思うし従来の並行在来線の議論とはちょっと違うと思うんですね。JRもフルでやりたいんだったら並行在来線で最大限の考慮をしなきゃできないよと。早くどれだけできるんだというのを詰めろと言っていますけどね」
Q佐賀県民に対してこの問題についてどのように伝えたいか?
山本幸三衆議院議員:「これまでのいろんな経緯から見て佐賀県内で反対意見もあったというのはよく分かりますし、そういう反論もあるんだろうなと思います。ただ、長い目で見て、佐賀県の振興なり地方創生をどう考えるかとしたら、どうしたってやっぱり全国につながるフルの新幹線ルートが無いと、将来性はあり得ないんじゃないかと思うので。そこはよく考えてもらいたいなと。そのためには我々はその負担をどれだけ軽減できるかについてはこれは真剣に考えたいと思うので」
佐賀県の費用負担軽減の方策はいくつか考えられるということだと思いますが、やはり建設費自体の上振れの懸念もありますし、並行在来線がどうなるのかも含め、具体性を持ってはっきりとした提示がされないとなかなか県民としては判断しづらいと感じます。
フル規格を主張する政府与党などの関係者には、今後、具体性を持った条件の提示というのが求められてくると思います。
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