佐賀のニュース
「早期の診断で前向きになった」県内の認知症の高齢者は約3万3千人 当事者とその家族に密着【佐賀県】
2025/04/01 (火) 18:40

いわゆる「団塊の世代」全員が後期高齢者になるなど高齢化が進む中、県内の認知症の高齢者は約3万3千人と推計されています。一方、早期の診断で認知症と向き合い、前向きに捉えられるようになっている人もいます。佐賀市で暮らす認知症の当事者とその家族を取材しました。
【吉冨節子さん】
「これだ、覚えてない?覚えてない?ふーんこれおいしかったよ」
吉冨義純さん74歳。3年前にアルツハイマー型の認知症と診断されました。きっかけは40年以上ともに過ごした妻・節子さんの感じた異変。当初はMRIなどによる検査で異常なしという結果でしたが、半年後に追加の検査を受けたことが早期の診断につながったといいます。
【吉冨節子さん】
「ある出来事をぽっとこう忘れたことがあったんですよ、ひとつ、それがね、私にはこう何もないっていうのが腑に落ちなくて…違う検査をしてくれてそれで分かったんです」
国の調査では65歳以上の高齢者の約13%にあたる、470万人あまりが認知症と推測されていて、県によりますとこの数字をもとにした県内の認知症の高齢者の数は、今年時点で約3万3千人になるほか、10年後にほぼピークを迎えるとみられています。
しかし吉冨さんのように早いうちに診断を受けられる人は少ないと専門医は話します。
【横須賀病院 横須賀公彦院長】
「歳のせいだろうってほっとかれている方がどっかのタイミングで連れてこられて、結構もう認知症が進んでる(ことが多い)」
この日取材した佐賀市の病院では、80代の男性が家族に連れられて検査を受けに来ていました。車のカギなどの忘れ物が目立ってきたといいます。
【先生】
「5点満点中0なのでなかなか思い出せてないなと、やっぱり1番考えられるのはアルツハイマー型の認知症かな。注射薬はちょっとご本人さんはもう認知機能が少し落ちてますので適用にはならない」
男性はその後、血液検査などの結果も踏まえ認知症と正式に診断。一方、すでに薬を使った治療の一部は受けられない状態だということです。
【横須賀病院 横須賀公彦院長】
「(新しい薬は)初期の認知機能低下の方にしか適用はありませんし、進んでからではなかなか進行も抑えるのも難しい」
認知症には現状特効薬はなく、最新の薬でも症状の進行を遅らせるのがやっと。
本人やその家族のケアのためには医療機関など専門的な機関以外の役割が重要となります。
【横須賀病院 横須賀公彦院長】
「(認知症の人を)抱え込むってわけじゃなくて、いろんな情報を共有しながら地域で支えるって形じゃないとなかなか認知症っていうのは大変だと思います」
佐賀市で月に一度開かれる「カフェ・オレンジ」認知症への理解を深めてもらおうと県内各地で開かれている認知症カフェのひとつです。
【認知症の人と家族の会 小池美鈴代表】
「介護予防目的のカフェみたいなのが非常に多いんですが、(カフェ・オレンジは)ご本人さんとご家族さんのためのカフェですので、同じ境遇の者同士のお話ができる」
吉冨さん夫婦にとってもここは貴重な交流の場です。
【吉冨義純さん】
「大変楽しく過ごさせていただいてます」
【吉冨節子さん】
「同じ経験をされた方たち、先輩の方たちがたくさんいらっしゃるので、不安っていうのもだいぶ減りましたし、気を使わずに話しやすいですね」
カフェは約10年前からだが、代表は4年前から携わることに、17年ケアマネ経験し、活動に興味持つこのカフェを開く代表自身も介護経験者。同じ立場の人同士が経験談を共有することで、認知症を前向きに捉えられるようになればと話します。
【認知症の人と家族の会 小池美鈴代表】
「(認知症は)何もわからなくなってしまう何もできなくなってしまう人だっていうようなイメージからですね、今までの生活をできるだけ長く続けていけば希望を持って生活できるんだっていうことが(わかってほしい)」
吉冨さんの趣味は認知症の診断前から続けるパン作り。難しいレシピには対応できなくなりましたが、毎週のように生地をこねます。
【吉冨節子さん】
「みんなの誕生日ケーキを作って、スポンジを焼いてましたね、今はね、作ってないね、作ろうという気はあるけどね」
【吉冨義純さん】
Q.一番楽しいことは?「パンをこねてるときかな」「そうですか、それが1番楽しい」「うん」
一方、認知症の診断により閉ざされた道も。市役所で認知症のことを明かした上で仕事がしたいと相談したところ、県内には働き口がないと言われたのです。
【吉冨節子さん】
「認知症と言われた時と同じぐらいショックだったみたい、認知症の人で一番つらいのはあなたはもういらない人よってそういう感じで思われる、言われる。大抵のことはまだできるのになって」
現状を少しでも変えたいと去年9月、県から大使として任命を受け、講演会など認知症への理解を深めるための広報活動に取り組んでいます。
【吉冨義純さん】
「認知症の働ける場を一生懸命作っていきたいなと私は思っています」
【吉冨節子さん】
「“うちはできないから”って私が閉じてしまったら、もう私がなくしていっちゃうんじゃないか?みたいな気がして、自分がやるって言って、もう途中でやらないって言ったことはなかったから」
啓発活動にくわえ、体操教室など忙しい日々を送る吉冨さん。地域のまち歩きサークルにも参加し積極的に体を動かしています。活動的な夫の姿を見守る節子さんは早期の診断が重要だったと振り返ります。
【吉冨節子さん】
「早く診断されるっていうことは、やっぱりいろんなことをやれる時間がそれだけ多くなる、そう(ずっとこのまま)じゃないんだなっていう覚悟もある程度はできました、だからこそ、なんか今を大事にしたいって、こうやってね、漫才みたいに(笑)」
早期診断について、県は県内5か所の医療機関を「認知症疾患医療センター」に指定し電話相談や受診を呼びかけています。
また、かかりつけ医への相談もすすめています。
VTRに出てきた認知症の人と家族の会佐賀県支部は、平日の午前10時から午後4時まで無料の電話相談を受け付けているということです。
【吉冨節子さん】
「これだ、覚えてない?覚えてない?ふーんこれおいしかったよ」
吉冨義純さん74歳。3年前にアルツハイマー型の認知症と診断されました。きっかけは40年以上ともに過ごした妻・節子さんの感じた異変。当初はMRIなどによる検査で異常なしという結果でしたが、半年後に追加の検査を受けたことが早期の診断につながったといいます。
【吉冨節子さん】
「ある出来事をぽっとこう忘れたことがあったんですよ、ひとつ、それがね、私にはこう何もないっていうのが腑に落ちなくて…違う検査をしてくれてそれで分かったんです」
国の調査では65歳以上の高齢者の約13%にあたる、470万人あまりが認知症と推測されていて、県によりますとこの数字をもとにした県内の認知症の高齢者の数は、今年時点で約3万3千人になるほか、10年後にほぼピークを迎えるとみられています。
しかし吉冨さんのように早いうちに診断を受けられる人は少ないと専門医は話します。
【横須賀病院 横須賀公彦院長】
「歳のせいだろうってほっとかれている方がどっかのタイミングで連れてこられて、結構もう認知症が進んでる(ことが多い)」
この日取材した佐賀市の病院では、80代の男性が家族に連れられて検査を受けに来ていました。車のカギなどの忘れ物が目立ってきたといいます。
【先生】
「5点満点中0なのでなかなか思い出せてないなと、やっぱり1番考えられるのはアルツハイマー型の認知症かな。注射薬はちょっとご本人さんはもう認知機能が少し落ちてますので適用にはならない」
男性はその後、血液検査などの結果も踏まえ認知症と正式に診断。一方、すでに薬を使った治療の一部は受けられない状態だということです。
【横須賀病院 横須賀公彦院長】
「(新しい薬は)初期の認知機能低下の方にしか適用はありませんし、進んでからではなかなか進行も抑えるのも難しい」
認知症には現状特効薬はなく、最新の薬でも症状の進行を遅らせるのがやっと。
本人やその家族のケアのためには医療機関など専門的な機関以外の役割が重要となります。
【横須賀病院 横須賀公彦院長】
「(認知症の人を)抱え込むってわけじゃなくて、いろんな情報を共有しながら地域で支えるって形じゃないとなかなか認知症っていうのは大変だと思います」
佐賀市で月に一度開かれる「カフェ・オレンジ」認知症への理解を深めてもらおうと県内各地で開かれている認知症カフェのひとつです。
【認知症の人と家族の会 小池美鈴代表】
「介護予防目的のカフェみたいなのが非常に多いんですが、(カフェ・オレンジは)ご本人さんとご家族さんのためのカフェですので、同じ境遇の者同士のお話ができる」
吉冨さん夫婦にとってもここは貴重な交流の場です。
【吉冨義純さん】
「大変楽しく過ごさせていただいてます」
【吉冨節子さん】
「同じ経験をされた方たち、先輩の方たちがたくさんいらっしゃるので、不安っていうのもだいぶ減りましたし、気を使わずに話しやすいですね」
カフェは約10年前からだが、代表は4年前から携わることに、17年ケアマネ経験し、活動に興味持つこのカフェを開く代表自身も介護経験者。同じ立場の人同士が経験談を共有することで、認知症を前向きに捉えられるようになればと話します。
【認知症の人と家族の会 小池美鈴代表】
「(認知症は)何もわからなくなってしまう何もできなくなってしまう人だっていうようなイメージからですね、今までの生活をできるだけ長く続けていけば希望を持って生活できるんだっていうことが(わかってほしい)」
吉冨さんの趣味は認知症の診断前から続けるパン作り。難しいレシピには対応できなくなりましたが、毎週のように生地をこねます。
【吉冨節子さん】
「みんなの誕生日ケーキを作って、スポンジを焼いてましたね、今はね、作ってないね、作ろうという気はあるけどね」
【吉冨義純さん】
Q.一番楽しいことは?「パンをこねてるときかな」「そうですか、それが1番楽しい」「うん」
一方、認知症の診断により閉ざされた道も。市役所で認知症のことを明かした上で仕事がしたいと相談したところ、県内には働き口がないと言われたのです。
【吉冨節子さん】
「認知症と言われた時と同じぐらいショックだったみたい、認知症の人で一番つらいのはあなたはもういらない人よってそういう感じで思われる、言われる。大抵のことはまだできるのになって」
現状を少しでも変えたいと去年9月、県から大使として任命を受け、講演会など認知症への理解を深めるための広報活動に取り組んでいます。
【吉冨義純さん】
「認知症の働ける場を一生懸命作っていきたいなと私は思っています」
【吉冨節子さん】
「“うちはできないから”って私が閉じてしまったら、もう私がなくしていっちゃうんじゃないか?みたいな気がして、自分がやるって言って、もう途中でやらないって言ったことはなかったから」
啓発活動にくわえ、体操教室など忙しい日々を送る吉冨さん。地域のまち歩きサークルにも参加し積極的に体を動かしています。活動的な夫の姿を見守る節子さんは早期の診断が重要だったと振り返ります。
【吉冨節子さん】
「早く診断されるっていうことは、やっぱりいろんなことをやれる時間がそれだけ多くなる、そう(ずっとこのまま)じゃないんだなっていう覚悟もある程度はできました、だからこそ、なんか今を大事にしたいって、こうやってね、漫才みたいに(笑)」
早期診断について、県は県内5か所の医療機関を「認知症疾患医療センター」に指定し電話相談や受診を呼びかけています。
また、かかりつけ医への相談もすすめています。
VTRに出てきた認知症の人と家族の会佐賀県支部は、平日の午前10時から午後4時まで無料の電話相談を受け付けているということです。
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