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「開通すれば町が発展する」新幹線神話は過去の話 不透明な長期的”まちづくり”【佐賀県武雄市】
2022/09/07 (水) 19:40
シリーズでお伝えしている西九州新幹線の光と影。今回は新幹線の駅ができる武雄市です。開業まで1カ月を切り、コロナで減った観光客の回復に期待がある一方、一過性のイベントではなく、“まちづくり”にどう生かすか、中長期的な取り組みが求められます。
【武雄温泉旅館組合 田中隆一郎理事長】
「ほんと全国干上がっていた。そういう中でひとつの材料。良い材料で新幹線ができる」
武雄市内の旅館やホテルでつくる、武雄温泉旅館組合の理事長を務める田中さん。新型コロナで落ち込んだ“町の起爆剤”として、新幹線に期待を寄せています。
毎年160万人を超える観光客が訪れていた武雄市。しかし、新型コロナの影響で客足は遠のき、大きく落ち込んでいます。
観光業に対しては、現在、県民割などの宿泊支援がありますが、今後、「全国旅行支援」が実施されれば、全国的に旅行需要の回復が見込まれます。
そうした中、旅館組合は、他の観光地との競争に負けないよう、新幹線開業を“武器”に、東京や大阪などの旅行代理店を回り、プロモートをかけています。
【武雄温泉旅館組合 田中隆一郎理事長】
「観光材料がないと、立ち遅れる。やっぱり上手なところに客が引き込まれて、そっちの方に流れていく。そういう中で、武雄温泉のひとつの話題が、新幹線ができるということについては、非常にプラスに影響していく」
このタイミングを、好機を捉えているのは、観光業だけではありません。武雄市武雄町にあるイタリア料理店「ラ・ミーア・カーサ」。新幹線開業に向けて作ったのは、嬉野のほうじ茶を使った「パイ」。店やインターネットで買うことができます。
【ラ・ミーア・カーサ 宮本香さん】
「ほうじ茶の味も残っていて、食べたら鼻からほうじ茶の香りが抜けて」
武雄町菓子組合は、新しい武雄の名物を作ろうと、開発資金として、クラウドファンディングを活用。加盟する5つの店が、それぞれ新商品を作っています。新幹線をきっかけに町が活気づくことが期待されますが、市民の間には温度差もあります。
【温泉通りの飲食店】
「やっぱり今、人が動いていないので、新幹線をきっかけにこっちに来てくれるんじゃないかと期待ですよね。早く早くという感じ。待ち望んでます」
【温泉通りの飲食店】
「武雄に来て、何があるのかというのをきちんとPRしていかないと難しい。結局通過点になってしまう」
Q.新幹線開業への期待は?
【武雄市民】
「ぜんぜん実感がない。博多までつながればそれがあると思いますけど、長崎の方ですからね。反対の方ですからまだ、実感がない」
駅が新設される嬉野市は、大規模な駅前整備が進み、新たにホテルが進出するなど、民間の投資が活発に行われています。それに比べ、武雄市は、大きな民間投資はなく、行政を中心に「駅」を活用した地域の連携や観光振興を目指しています。
【田中良宜記者】
「周辺の市町との連携に向けて、市が肝入りで整備を進めているのが、駅構内の観光交流センター『武雄旅書店』です」
鹿島の祐徳稲荷や酒蔵、有田や伊万里、長崎県の波佐見の焼き物など、西九州の観光情報を駅に集約し、武雄を起点に西九州全体へ、人の流れをつくりたい考えです。
【武雄市 小松政市長】
「これからの観光というのは、武雄のオリジナリティーは高めていかなければならない。しかし、それだけでは十分ではないと思う。一自治体だけではなくて、すべての自治体に良いものがたくさんある。強みもある。それをしっかりと組み合わせるというのが、これから大事なお迎えの体制だと思う」
一方、駅の整備やイベントの準備など、駅周辺では盛り上がりを見せていますが、駅から離れると、“まちづくり”は不透明のままです。
【 田中良宜記者】
「飲食店が立ち並ぶ川端通りです。こちらは駅と旅館街のちょうど中間、通り道にあるんですが、高架下の活用方法は未だ決まっていません」
長さ280メートルほどの飲食店街に沿う高架下。市は、これまでイベントを開くなどして、活用法を模索していたものの、高架下を所有する鉄道・運輸機構との具体的な話は進まず。市内にどうやって人を回遊させるか、形が見えないまま、開業まで一カ月を切りました。
【武雄温泉旅館組合 田中隆一郎理事長】
「今の状況を見た時に人が歩くかなと。それから人が歩いて楽しめるような何か方策を一緒に考えていく、これは我々商売人ばかりではできない。ここは行政と一緒になって、この町をどういう風にしていこうかと。連携をもう少し作っていければ」
「新幹線さえできれば町が発展する」という、いわゆる新幹線神話は今や過去の話。開業の一時的な盛り上がりだけでなく、新幹線を中長期的な“武雄のまちづくり”に生かせるかが問われます。
【武雄温泉旅館組合 田中隆一郎理事長】
「ほんと全国干上がっていた。そういう中でひとつの材料。良い材料で新幹線ができる」
武雄市内の旅館やホテルでつくる、武雄温泉旅館組合の理事長を務める田中さん。新型コロナで落ち込んだ“町の起爆剤”として、新幹線に期待を寄せています。
毎年160万人を超える観光客が訪れていた武雄市。しかし、新型コロナの影響で客足は遠のき、大きく落ち込んでいます。
観光業に対しては、現在、県民割などの宿泊支援がありますが、今後、「全国旅行支援」が実施されれば、全国的に旅行需要の回復が見込まれます。
そうした中、旅館組合は、他の観光地との競争に負けないよう、新幹線開業を“武器”に、東京や大阪などの旅行代理店を回り、プロモートをかけています。
【武雄温泉旅館組合 田中隆一郎理事長】
「観光材料がないと、立ち遅れる。やっぱり上手なところに客が引き込まれて、そっちの方に流れていく。そういう中で、武雄温泉のひとつの話題が、新幹線ができるということについては、非常にプラスに影響していく」
このタイミングを、好機を捉えているのは、観光業だけではありません。武雄市武雄町にあるイタリア料理店「ラ・ミーア・カーサ」。新幹線開業に向けて作ったのは、嬉野のほうじ茶を使った「パイ」。店やインターネットで買うことができます。
【ラ・ミーア・カーサ 宮本香さん】
「ほうじ茶の味も残っていて、食べたら鼻からほうじ茶の香りが抜けて」
武雄町菓子組合は、新しい武雄の名物を作ろうと、開発資金として、クラウドファンディングを活用。加盟する5つの店が、それぞれ新商品を作っています。新幹線をきっかけに町が活気づくことが期待されますが、市民の間には温度差もあります。
【温泉通りの飲食店】
「やっぱり今、人が動いていないので、新幹線をきっかけにこっちに来てくれるんじゃないかと期待ですよね。早く早くという感じ。待ち望んでます」
【温泉通りの飲食店】
「武雄に来て、何があるのかというのをきちんとPRしていかないと難しい。結局通過点になってしまう」
Q.新幹線開業への期待は?
【武雄市民】
「ぜんぜん実感がない。博多までつながればそれがあると思いますけど、長崎の方ですからね。反対の方ですからまだ、実感がない」
駅が新設される嬉野市は、大規模な駅前整備が進み、新たにホテルが進出するなど、民間の投資が活発に行われています。それに比べ、武雄市は、大きな民間投資はなく、行政を中心に「駅」を活用した地域の連携や観光振興を目指しています。
【田中良宜記者】
「周辺の市町との連携に向けて、市が肝入りで整備を進めているのが、駅構内の観光交流センター『武雄旅書店』です」
鹿島の祐徳稲荷や酒蔵、有田や伊万里、長崎県の波佐見の焼き物など、西九州の観光情報を駅に集約し、武雄を起点に西九州全体へ、人の流れをつくりたい考えです。
【武雄市 小松政市長】
「これからの観光というのは、武雄のオリジナリティーは高めていかなければならない。しかし、それだけでは十分ではないと思う。一自治体だけではなくて、すべての自治体に良いものがたくさんある。強みもある。それをしっかりと組み合わせるというのが、これから大事なお迎えの体制だと思う」
一方、駅の整備やイベントの準備など、駅周辺では盛り上がりを見せていますが、駅から離れると、“まちづくり”は不透明のままです。
【 田中良宜記者】
「飲食店が立ち並ぶ川端通りです。こちらは駅と旅館街のちょうど中間、通り道にあるんですが、高架下の活用方法は未だ決まっていません」
長さ280メートルほどの飲食店街に沿う高架下。市は、これまでイベントを開くなどして、活用法を模索していたものの、高架下を所有する鉄道・運輸機構との具体的な話は進まず。市内にどうやって人を回遊させるか、形が見えないまま、開業まで一カ月を切りました。
【武雄温泉旅館組合 田中隆一郎理事長】
「今の状況を見た時に人が歩くかなと。それから人が歩いて楽しめるような何か方策を一緒に考えていく、これは我々商売人ばかりではできない。ここは行政と一緒になって、この町をどういう風にしていこうかと。連携をもう少し作っていければ」
「新幹線さえできれば町が発展する」という、いわゆる新幹線神話は今や過去の話。開業の一時的な盛り上がりだけでなく、新幹線を中長期的な“武雄のまちづくり”に生かせるかが問われます。
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