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赤潮原因"種"を特定 ノリ色落ち対策へ期待!佐大学農学部研究グループが発表【佐賀県】
2023/02/13 (月) 18:50
今シーズン、栄養塩不足による色落ちで記録的な不作となっている有明海の養殖ノリ。その原因の1つが赤潮です。
そんな中、1月、佐賀大学の研究グループがある研究成果を発表しました。赤潮の動きを先読みし対策を打てるようになるかもしれません。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「いままでだったら、赤潮が出たら(その後)どうなるか分からなかったんですけど、今後こういう風な赤潮の出方になるんじゃないかということを先んじて予測することが可能になってくる」
1月末、佐賀大学農学部の研究グループが発表した今シーズン深刻な問題となっているノリの色落ちへの新たな一手。色落ちする原因の1つでノリの天敵、赤潮への対策につながると期待されています。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「スケレトネマっていう生き物ですけど、ちゃんと年間でこう動きがあるんだなあっていうのを知って冬にはこれがでて、夏にこれが出てっていうのが分かってきたのは結構驚きで」
佐賀県が日本一を誇る有明海の養殖ノリ。ただ、今シーズンは全域で栄養不足による色落ちが確認され、これまで累計の販売枚数は平年の半分ほどに落ち込んでいます。
【県有明海漁協・深川辰己参事】
「栄養はかなり回復しましたけど、まだプランクトンあたりがまだたくさんいますのでちょっと油断はできないかと思います」
大きな原因の1つが、赤潮。植物プランクトンが大量発生する現象で、ノリの生育に必要な海の栄養塩を食べてしまうんです。
佐賀大学農学部の木村圭准教授43歳、それに吉田和広助教31歳です。今回、有明海にいるプランクトンの半分近くを占める「スケレトネマ属」について研究を進めました。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「より簡単にスケレトネマが、どういう種のスケレトネマがいま出現しているのかっていうのを判別できる技術を開発して」
有明海にはどんなプランクトンがいるのか、顕微鏡での観察ではスケレトネマ属とまでしか分からず、その先、何の種なのか特定できないといいます。同じ“属”でも幅広い“種”があります。例えば、同じ「ヒョウ属」にも、トラ、ライオンなど別の種がいるといったものです。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「その種を判別するのが難しい生き物に対して、DNAを使って、このスケレトネマ種がどれだけいますかっていうことを量で、種の特定とその量を測ることができる技術を作った」
種の判別に使ったのはDNA。無数のアルファベットが並ぶDNAの配列から種ごとの違いを見つける作業です。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「いまだったらこれで500、600(字)ぐらいに縮めていますけど、必要ない情報とかを1500くらいから切って使ってますね」
Q「それでも500から600ぐらい…」
「まさにこれ、その情報ですけど、これぐらいの情報の中から違いを抜き出してるっていう感じ」
DNA配列の違いから有明海にいた7種のスケレトネマ属を判別できる検査方法を開発。これにより大量発生し、赤潮の原因になっているのは何の種なのかまで特定できるようになりました。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「これが昨日の赤潮の有明海の海水のサンプルです」
プランクトンを捕集するため、まずは専用のフィルターで海水をろ過していきます。赤潮がひどい海水ほど、フィルターは濃い茶色になります。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「フィルターから赤潮生物のDNAを抽出します」
Q「いまは単に植物が…」
「ただのっているだけですね」
Q「そこからDNAを?」
「DNAを抽出します」
複数の試薬を混ぜるなどしてDNAを抽出。ただ、このなかにはフィルターで捕集したすべてのプランクトンのDNAが入っています。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「なのでここから有明海のノリ漁期の赤潮原因種がどれくらいいるかというのはPCR検査で判定していくということになる」
新たに開発したこの検査方法は、単に種を判別するだけでなくそれぞれどれくらいいるか量までを調べることができます。2週間に1回、同様の作業を1年間繰り返すことでどの季節に何の種が多いかまでを明らかにしたのです。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「目の前にいる漁師さんに役立つかもしれないデータが出たというのは私の経験としては初めてだったので、喜びはいままで以上に大きかった」
ところで、種を特定し、その季節ごとの量までを調べた今回の研究ですが、どのようにしてノリ養殖に役立つのか?
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「ドーニーが出てたら、長期的に赤潮が続くかもしれない。ジャポニカムだったら、もしかしたらすぐ終わるかもしれないっていう」
スケレトネマ属のうち冬に量が多かった、つまりノリのシーズンに赤潮化するのは、主に「ジャポニカム」と「ドーニー」という種。「ジャポニカム」は急激に増殖したあとすぐに消滅、「ドーニー」は中規模で長く居座るという活動の仕方も判明しています。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「ジャポニカムはすごく強烈に出て、その後引くかもしれないので、出るまでにちょっとある程度良い状態のものを刈り取りできるだけした方がいいとか。で、ちょっと時間を待ったら(栄養が)回復するかもしれない、それを待ちますかっていう、そういう判断に」
今後は現場レベルでもすぐに判別できるよう技術を導入していくほか、漁業者の理解が深まるよう周知を進め、いちはやく“社会実装”を実現したい考えです。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
Q「どうでしょう?先生の中では、いわゆる社会実装化っていうところまでいま何%ぐらい来ている?」
「そうですね。これ半分ぐらいまで来たんじゃないかなと思っている。基本的には大学の技術っていうのはやっぱり応用性はまだ低いので、やっぱ社会実装できて、社会が変わらなければ。本当に将来、色落ちが、色落ちなんて何の話みたいな話になればですね、一番いいですけど」
そんな中、1月、佐賀大学の研究グループがある研究成果を発表しました。赤潮の動きを先読みし対策を打てるようになるかもしれません。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「いままでだったら、赤潮が出たら(その後)どうなるか分からなかったんですけど、今後こういう風な赤潮の出方になるんじゃないかということを先んじて予測することが可能になってくる」
1月末、佐賀大学農学部の研究グループが発表した今シーズン深刻な問題となっているノリの色落ちへの新たな一手。色落ちする原因の1つでノリの天敵、赤潮への対策につながると期待されています。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「スケレトネマっていう生き物ですけど、ちゃんと年間でこう動きがあるんだなあっていうのを知って冬にはこれがでて、夏にこれが出てっていうのが分かってきたのは結構驚きで」
佐賀県が日本一を誇る有明海の養殖ノリ。ただ、今シーズンは全域で栄養不足による色落ちが確認され、これまで累計の販売枚数は平年の半分ほどに落ち込んでいます。
【県有明海漁協・深川辰己参事】
「栄養はかなり回復しましたけど、まだプランクトンあたりがまだたくさんいますのでちょっと油断はできないかと思います」
大きな原因の1つが、赤潮。植物プランクトンが大量発生する現象で、ノリの生育に必要な海の栄養塩を食べてしまうんです。
佐賀大学農学部の木村圭准教授43歳、それに吉田和広助教31歳です。今回、有明海にいるプランクトンの半分近くを占める「スケレトネマ属」について研究を進めました。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「より簡単にスケレトネマが、どういう種のスケレトネマがいま出現しているのかっていうのを判別できる技術を開発して」
有明海にはどんなプランクトンがいるのか、顕微鏡での観察ではスケレトネマ属とまでしか分からず、その先、何の種なのか特定できないといいます。同じ“属”でも幅広い“種”があります。例えば、同じ「ヒョウ属」にも、トラ、ライオンなど別の種がいるといったものです。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「その種を判別するのが難しい生き物に対して、DNAを使って、このスケレトネマ種がどれだけいますかっていうことを量で、種の特定とその量を測ることができる技術を作った」
種の判別に使ったのはDNA。無数のアルファベットが並ぶDNAの配列から種ごとの違いを見つける作業です。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「いまだったらこれで500、600(字)ぐらいに縮めていますけど、必要ない情報とかを1500くらいから切って使ってますね」
Q「それでも500から600ぐらい…」
「まさにこれ、その情報ですけど、これぐらいの情報の中から違いを抜き出してるっていう感じ」
DNA配列の違いから有明海にいた7種のスケレトネマ属を判別できる検査方法を開発。これにより大量発生し、赤潮の原因になっているのは何の種なのかまで特定できるようになりました。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「これが昨日の赤潮の有明海の海水のサンプルです」
プランクトンを捕集するため、まずは専用のフィルターで海水をろ過していきます。赤潮がひどい海水ほど、フィルターは濃い茶色になります。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「フィルターから赤潮生物のDNAを抽出します」
Q「いまは単に植物が…」
「ただのっているだけですね」
Q「そこからDNAを?」
「DNAを抽出します」
複数の試薬を混ぜるなどしてDNAを抽出。ただ、このなかにはフィルターで捕集したすべてのプランクトンのDNAが入っています。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「なのでここから有明海のノリ漁期の赤潮原因種がどれくらいいるかというのはPCR検査で判定していくということになる」
新たに開発したこの検査方法は、単に種を判別するだけでなくそれぞれどれくらいいるか量までを調べることができます。2週間に1回、同様の作業を1年間繰り返すことでどの季節に何の種が多いかまでを明らかにしたのです。
【佐賀大学農学部・吉田和広助教】
「目の前にいる漁師さんに役立つかもしれないデータが出たというのは私の経験としては初めてだったので、喜びはいままで以上に大きかった」
ところで、種を特定し、その季節ごとの量までを調べた今回の研究ですが、どのようにしてノリ養殖に役立つのか?
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「ドーニーが出てたら、長期的に赤潮が続くかもしれない。ジャポニカムだったら、もしかしたらすぐ終わるかもしれないっていう」
スケレトネマ属のうち冬に量が多かった、つまりノリのシーズンに赤潮化するのは、主に「ジャポニカム」と「ドーニー」という種。「ジャポニカム」は急激に増殖したあとすぐに消滅、「ドーニー」は中規模で長く居座るという活動の仕方も判明しています。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
「ジャポニカムはすごく強烈に出て、その後引くかもしれないので、出るまでにちょっとある程度良い状態のものを刈り取りできるだけした方がいいとか。で、ちょっと時間を待ったら(栄養が)回復するかもしれない、それを待ちますかっていう、そういう判断に」
今後は現場レベルでもすぐに判別できるよう技術を導入していくほか、漁業者の理解が深まるよう周知を進め、いちはやく“社会実装”を実現したい考えです。
【佐賀大学農学部・木村圭准教授】
Q「どうでしょう?先生の中では、いわゆる社会実装化っていうところまでいま何%ぐらい来ている?」
「そうですね。これ半分ぐらいまで来たんじゃないかなと思っている。基本的には大学の技術っていうのはやっぱり応用性はまだ低いので、やっぱ社会実装できて、社会が変わらなければ。本当に将来、色落ちが、色落ちなんて何の話みたいな話になればですね、一番いいですけど」
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