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西九州新幹線開業まもなく1年 にぎわい復活の嬉野は“嬉しい悲鳴”も人手不足が課題【佐賀県嬉野市】
2023/08/24 (木) 18:40
シリーズ「サガリサーチα」。今回は西九州新幹線の開業からまもなく1年を迎える嬉野の観光について。コロナ禍を乗り越え海外からの旅行客も増えるなどにぎわいが戻り、旅館や商店街からは“嬉しい悲鳴”が聞こえてきますが、それが次なる課題になっています。
【観光客】
五島から「武雄で(新幹線に)乗り換えてこちらへ。新幹線も多少は乗れるし、やっぱり温泉ですよね。嬉野温泉初めてなんですけどすごく気になるなと」
長崎から「夜市に行ったら人の多さにびっくりした」
「西九州新幹線」、それに玄関口の「嬉野温泉駅」が開業して9月で1年。県内有数の観光地・嬉野市では新型コロナの5類引き下げや、全国旅行支援などをきっかけに賑わいが戻ってきました。
【橋爪菓子舗 橋爪久美子さん】
「今までの反動でわっと押し寄せてくる感じがあって、お客さん多かったですね。こじんまり、家内工業で回していますからっていうことでお客様には「いっぱいいっぱいでごめんね」とか言ってます」
嬉野の観光を支える宿泊業。1950年創業の和多屋別荘では国内外から旅行客が増え、夏休み期間から9月まで土日はほぼ満室です。
【和多屋別荘 中島徳恵支配人】
「新幹線にご乗車のお客様が大変多くなっていて、私達も駅までの送迎が大変多くなりました。コロナ禍に比べたらだいぶお客様も戻ってきたので、忙しい日々を送っております」
一方、長いコロナ禍を乗り越えたともいえるいま、嬉野の観光業界はある課題に直面しています。
【嬉野温泉旅館組合 山口剛代表】
「嬉野も特に旅館は“人手不足”になっている。なかなか求人をかけても応募がないとか」
嬉野温泉の観光協会と旅館組合、いずれも代表を務める山口剛さんです。
コロナ禍では、多くの旅館が従業員の解雇を余儀なくされた一方、新たに求人を出しても宿泊業ならではの働き方を背景に人手が集まらないと話します。
【嬉野温泉旅館組合 山口剛代表】
「旅館は連続休暇が取れない、土日休みが取れないので結構酷な業種なんです。そこらへんがネックになっているのかなと思っています」
ハローワークの調査では宿泊業・飲食サービス業の求人数は最も落ち込んだ2020年と比べ、この2年間で倍増しました。解雇した従業員は戻らない一方、旅行客は急増しているのが主な要因とみられています。
こうした結果、最新の有効求人倍率はフルタイムで3.80倍、パートタイムで12.71倍まで膨れ上がり、まさに“求人過多”、人手不足が顕著です。
さらに、嬉野にはこんな動きも。
【リポート・橋爪和泉】
「宿泊業には新規参入の動きもあります。駅前にはこちらのアメリカ大手のホテルが開業しました」
7月、嬉野温泉駅前に開業したのは、アメリカ大手のホテルチェーンマリオットなどが手掛けるホテルです。
【フェアフィールド・バイ・マリオット・佐賀嬉野温泉 池田厚支配人】
「オープニングスタッフ11名のうち7名は佐賀県出身者で、うち3名は嬉野市出身のスタッフとなっております。地域活性化につながることをやっているので、基本的に地元雇用で進めている」
嬉野市内には去年と比べ3つの旅館やホテルが増え、34施設に。10月1日にはJR九州の高級旅館、「嬉野八十八」がオープンします。こちらも、従業員の8割から9割は“地元雇用”で進める方針で、人材確保の競争が加速しています。
【大正屋 山口剛副社長】
「27が、青が予約入ってる分。で、もうこれが休館で、赤です。ここから28・29・30・31…」
こうした中、山口さんが副社長を務める1925年創業の老舗旅館、大正屋ではある“働き方改革”を始めました。
予約画面には“休館”の文字がずらり。
【大正屋 山口剛副社長】
「なかなか有給休暇の消化が難しくなったんですね、忙しくて。どうしたらいいかなと考えたときにまとめて取ろうと。売り上げは減るけど致し方ないと決断してですね、10日間の連休を決めました」
大正屋グループが今年から始めたのが10日間の連続休館日。
運営する3つの温泉旅館が、休む時期をずらすことで、グループ全体としては休業することなく220人の従業員全員がリフレッシュ休暇を取得できる仕組みです。
【大正屋 山口剛副社長】
「売り上げより“人材確保”これが本当に第一です。今度の新入社員にしても“こんな企業なんだ働いてみようかな”とか思っていただけるようになったらいいなと思います」
このほか、従業員のいないセルフステイ型を進めたり、そもそも予約を制限したりと、各旅館で試行錯誤が続いています。
【嬉野温泉旅館組合 山口剛代表】
「人がいなかったら営業できないからですね。人あっての仕事です。お客さんにマッチしたサービスする仕組みを今から模索していかないといけない」
西九州新幹線の開業1周年を迎える9月以降、行楽シーズン・秋の繁忙期に入る観光業。さらなる賑わいづくりに向け今度は“人手不足”という課題をどう乗り越えていくかがポイントと言えそうです。
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