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虐待や親の病気など…様々な理由で親元離れた子を育てる「里親制度」の現状【佐賀県】

2023/11/07 (火) 18:18

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虐待や親の病気などさまざまな事情で実の親と暮らすことができない子供を育てる「里親制度」。県内の登録数は年々増加していますが里親家庭を必要としている子どもたちは多くいます。現状や実際に里親をしている家庭を取材しました。

【里子の母親(40代)】
「その子の人生の中に関われるというか、忘れられるかもしれないが、育ててもらった途中に少し残っている記憶とか生活習慣の中に、自分がその子の中に残っていける」

“これからも親バカ全開でいきます”
“君から教えられ学ぶことはとても多いです”
“我が家に来てくれてありがとう”

今から75年前の1948年、昭和23年10月4日に始まった里親制度。
さまざまな事情で実の親と暮らすことができない子供たちを預かり育てる仕組みです。

【佐賀県里親支援こねくと 前田真由美さん】
「まだまだ里親家庭というのは珍しく、里親というカタチの家族があることを知っていただきたい」

里親家庭は大きく分けると2つあります。
家庭に戻れるまでまたは自立するまでの一定期間を養育する「養育里親」
自分たちの子供として特別養子縁組を前提とした「養子縁組里親」です。

佐賀市にある佐賀県里親支援こねくと。
現在、スタッフは6人、県から委託を受け制度の普及啓発や、登録のための研修・調整など里親家庭をサポートしています。

【佐賀県里親支援こねくと 武藤佳奈子さん】
「里親が希望するだけではなく、子供との相性が一番大事になる」

実の親と暮らせない子供たちは全国で約4万2000人といわれています。
その子供たちは里親家庭やファミリーホーム、乳児院や児童養護施設で暮らしています。

国のまとめによりますと里子に出す理由も含まれる養護問題発生理由は、両親の行方不明や虐待、離婚といった家庭環境の問題のほか両親の精神疾患など経済的理由があげられます。
県内では約280人の子供たちが実の親と暮らせていません。
一方、里親として登録しているのは187世帯で、里親家庭などで生活している子供は54世帯の75人です。

【佐賀県里親支援こねくと 勝田和歌子さん】
Q里親に求められることは?
「子供が好きな人、子供の話をきちんと聞ける人、気持ちに寄り添える人、いろいろな背景の子供たちなのでそこを理解できる人、あげたらキリがないが、心の優しい人」

里親になれるのは原則夫婦ですが、年齢に制限もなければ子育て経験も資格も必要ありません、子供の養育に支障のない範囲での共働きも構わないといいます。
また、生活費や義務教育費、医療費など養育に必要な経費は県から支給されます。

佐賀市のこちらの家庭は7年前(2016年)に養育里親に登録しました。
もともと子供たちとにぎやかなに過ごすことが大好きでしたが、登録のきっかけは夫からのある一言でした。

【母親(40代)】
「主人が“社会的養護の一つの里親登録をして子供を預かりたいと前から思っていた”と話してくれたので、自分の子供と一緒にいろいろな経験をして、成長していくときにいい経験になるなと思って登録した」

実の子供は4人。
高校生から中学生までの子供を育てながら今年3月4歳だったの女の子を里子として迎えました。

里子迎えるのは2度目。
1人目の女の子との生活は1年ほどでした。

【里子の母親(40代)】
「そこで終わったら、寂しいままで終わりそうだったから、このままずっと里親を続けていると、また新しい出会いとか、いろいろな経験ができて、お別れしたことも自分の経験の中の一つで、またいい経験につながっていくんじゃないかなと思って」

そして迎えた2人目の女の子。
絵を描くことが大好きで家庭ではもちろん今では地域でも人気者だといいます。

【里子の母親(40代)】
「可愛いんですよ本当に。一日一日成長してく姿とか。自分の子供のときは4人一緒で結構いっぱいいっぱいだったが、今はお姉ちゃんたちも一緒に子育てしてくれる感じで」

施設では集団生活がメインで洗濯や料理といった家事や家族で買い物に行くことなど同世代の子にとってあたりまえのことも初めてのことばかり。
しかし、一切特別扱いせずこの家のルールで半年以上過ごしのびのびと育っているといいます。

【母親(40代)】
「私が“これはこうするんだよ”教えたことを“自分が大人になったら自分の子供にも教えてあげるんだ”と言ってくれたり、“この道通って小学校に行くよね自分も”みたいな。今までは外に出るのも怖がっていたのに、自分の明るい未来みたいなのを見ながら話してくれるのがすごく印象的」

【里子ちゃん】
Q大きくなったら何になりたい?
「髪切る人になりたい。一番に切るのはお母さん」

里子を受け入れるという経験は家族にも大きな変化をもたらしました。

【次女(中学生)】
「あまり小さい子はお世話したことがなかったけど、この子が来てお世話できるようになった。ご飯を食べさせるのをよくやっている、食べるのが遅いから」

学校での職場体験先も子育て支援施設に決めました。
また長女は…

【長女(高校生)】
「もともと子供が結構好きだったが、この子と関わるようになってもっと子供のために役立つ仕事とか、将来そういうのを目標にしていきたいなと思うようになった」

“子供関係の仕事に就きたい”この子の存在が将来の夢につながりました。
友人にも大人気でこの子を目当てに遊びに来る友人もいるとか。
県内の里親登録数は年々増加し、10年ほど前と比べると3倍ほどになっています。

一方で課題も…

【佐賀県里親支援こねくと 前田真由美さん】
「未就学児だったらたくさん受けれる里親さんがいる。ただ小学生、もっと上の中高生になると本当に限られた中で里親をお願いする」

県内では、里親家庭にも協力してもらい体験談をまとめた冊子を作ったり日常の様子を捉えた写真のパネル展などを開催したりと啓発にも力を入れています。

【佐賀県里親支援こねくと 勝田和歌子さん】
「“あなた里親しているんですね”というのが当たり前の世の中になればと、啓発していて一番思うこと」

【里子の母親(40代)】
「思っていた以上に周りの人は受け入れてくれるし、やっぱり子供の成長の中に一緒に自分も入っていって、すごく良い経験とか里親になってみないと経験できないこともすごくたくさんあるので、本当にすごく楽しい」

Qこの子に伝えたいことは?
「自分に自信を持って、自分の人生に誇りを持って生きてほしい」

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