2023/12/19 (火) 18:19

今年の佐賀を振り返るシリーズ。
今回は新幹線長崎ルートの新鳥栖ー武雄温泉間について。
もしフル規格で整備した場合どのルートを通すのか？「佐賀駅ルート」や佐賀空港周辺の「南回りルート」、関係者や県民の間で意見が割れています。

【リポート・川野優也】
「いま列車が1台出てきました。JR武雄温泉駅から1キロほど離れた場所です。私の上には在来線・佐世保線の高架があります。その反対側に回ると途中で途切れている高架があります。あれが整備方式が決まっていない新幹線の高架です」

新幹線のレールは…この先も繋がっていくのでしょうか。

Q．新鳥栖ー武雄温泉に新幹線を通すべき？
【県民】
「通すべき」
【県民】
「自分たちの感覚からすると車があるのでいらないかな」

九州新幹線長崎ルートの新鳥栖ー武雄温泉間。
整備方式もルートも決まっていません。
国と佐賀県の協議は今年2月を最後に途絶え、膠着状態が続いています。
そんな中…。

【山口知事】
「九州佐賀国際空港の活用や有明海沿岸道路などとの連携を含めて大きな視点による全く新たな議論が必要」

山口知事が示したのは、佐賀空港の周辺を通る“南回りルート”。

【山口知事】
「十分協議する価値があると思うし協議する準備は整えている」

一方、国やJR九州などは“佐賀駅を通るルート”がベストとしています。

【JR九州 古宮洋二社長】
「新鳥栖から武雄温泉、未開通区間の議論が深まっていくのはいいなと。佐賀駅を通るルートが佐賀県民、佐賀市民にとって一番利用しやすいルートになる」

12月の県議会でも、論戦が展開されました。

【自民・木原奉文県議】
「佐賀駅の利便性や財政負担は南回りルートの方こそ失うものが大きい。地域振興やまちづくりの観点からも佐賀駅ルートこそが県民の利益に最も繋がり佐賀県・佐賀市が発展する」

【山口知事】
「佐賀駅を通るルートのフル規格は失うものがあまりにも大きく、未来への展望が描けない。南回りルートは佐賀県や九州全体の将来展望を描けるのであれば、議論していく価値はあるのではないか」

こうした中、約10か月ぶりに開催されたのが整備方針を議論する与党検討委員会。

【与党検討委員会 森山裕委員長】
「佐賀県の理解を頂いてできるだけ早く実現をすることが大事だと考えている」

年内に国と佐賀県の協議をするよう要請し、“議論の加速”を促しました。

【リポート・川野優也】
「東京の衆議院議員会館です。九州新幹線長崎ルートの議論の行方がどうなるのか、与党検討委員会の委員長に話を聞きます」

先週、サガテレビの単独インタビューに応じた与党検討委員会の森山委員長は。
【与党検討委員会 森山裕委員長】
「西九州ルートがどうなるか見極めをしないと、全体の新幹線の計画に迷惑をかける時期にきている」

今後注目されるのが、国と佐賀県の次の協議。
森山委員長は、山口知事が推す“南回りルート”の議論にも含みを持たせました。

【与党検討委員会 森山裕委員長】
「空港直結のルートは地盤的に非常に厳しいということ。安全性に不安があることはしてはいけない。“ほかのルート”が考えられるのかどうかというのが（国と県の）協議の中心だと思う」

Q．いまどのルートで議論するのが一番進捗が期待できる？
【与党検討委員会 森山裕委員長】
「そりゃ一番早いのは佐賀駅ルート。しかし佐賀駅ルートではどうしてもだめだという話も聞こえてくるし、そこは調整をしてもらうということだと思う」

県民の声はどうなのか？
12月、サガテレビが行った世論調査では、「佐賀駅ルート」が約半数を占めました。

【県民】
「構想がまだ空港の方は分からないから何とも言えない。今のところは真っすぐ佐賀駅を通ってもらいたい」

【県民】
「南ルートもいま浮き上がっているけどなかなか向こうのコースは逆に在来線との絡みも難しいんじゃないかと」

新幹線の建設にも関わり、地域交通に詳しい専門家は。

【富山大学 金山洋一特別研究教授】
「新幹線が中心都市を経過しないケースは中心都市に対する効果も低くなるし中心でないところの駅が著しく発展しているか、というと必ずしもそうではない。どっちつかずになる。少なくとも佐賀の都市、“佐賀の中心”を通ることはなかなか外せないと考える」