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「災害の記憶(再)」 山が動く恐怖「山津波」 小学校を飲み込んだ大規模地すべり【佐賀県】

2022/03/11 (金) 07:00

東日本大震災から11年。しかし今も被災地の苦悩は続いています。
想定外の甚大な災害。その記憶を忘れず、今後の防災に生かしていこうと、サガテレビでは「災害・私の記憶」をシリーズで放送を続けています。
災害の記憶を風化させないため、過去に放送した内容を改めて掲載します。

≪2021年7月13日 放送≫
シリーズでお伝えしている「災害・私の記憶」。
約60年前、地元の人が「山津波」と呼ぶ大規模な地すべりが太良町を襲いました。
当時中学生だった男性は土砂が小学校を飲み込んでいく光景を目の当たりにしました。

【杉田進さん】
「権現山の方をふっと見たんです。そしたら権現山が動くんです。うわーっと思いました。山が動くんだと思って。もう信じられないような光景なんです」

今から59年前の1962年7月8日、太良町や鹿島市などの県西部を中心に豪雨による大きな被害が出ました。7・8(しちはち)災害と呼ばれています。
7日夜から8日朝にかけて、九州北西部は記録的な集中豪雨に見舞われました。佐賀県太良町は大きな山津波が起こり、付近の民家30戸が押しつぶされて多くの死者を出し、一瞬のうちに泥の町と化しました」

九州北西部は、1週間ほど大雨が続き、鹿島市では川が氾濫し堤防が決壊。太良町大浦では8日の午前2時から8時までの6時間に604ミリの雨を観測。
そして、7月8日午前8時ごろ、大浦小学校のそばにある権現山が地すべりを起こし、約40万トンの土砂が町を襲いました。

【杉田進さん】
「すごいと思った瞬間、地すべりというか山津波という状態」

太良町大浦に住む杉田進さん71歳。当時、中学1年生でした。家にいた杉田さん。
玄関に雨水が流れ込んだことから2階に上がると、目の前の権現山が崩れ落ち、土砂が流れていく光景を目にしました。

【杉田進さん】
「民家も学校もお店もひとたまりもありません。ダンボールが潰されていくような、そんな光景でした」

土砂は線路で遮られ、杉田さんの家までは、流れ込みませんでしたが、民家などを押しつぶし、大浦小学校を襲いました。
7月8日は日曜日で児童はいなかったものの、3棟ある校舎のうち2棟が倒壊しました。
太良町では死者44人、家屋184戸が全半壊という大きな被害が出ました。負傷者127人。

Q「ここは実際に被害に遭った大浦小学校ですけど、権現山は?」
【杉田進さん】
「目の前です。少しくぼんでいる、傾斜があるところ」

上空から見てみると今も山の中腹の部分だけ低くなっているのがわかります。
小学校に当時の写真が残されていました。写真の中には当時はまだ珍しかったカラーフィルムで撮られたものもあります。自衛隊が入る前と思われる写真もありました。

【大浦小学校の職員】
「国道が通れなくて、鉄道もダメだったので、手作業って聞きました。自衛隊と消防団、地域の方と」

大浦小学校が授業を再開したのは51日後。800人以上いた児童は、倒壊を免れた校舎や大浦中学校、役場の支所などを使って、授業を受けたそうです。

大浦小学校では毎年この時期に、7・8災害を風化させないよう集会が開かれ、黙とうします。今年は杉田さんが59年前の体験を語りました。

【杉田進さん】
「私の父が『もう危なかけん、2階に逃げろ』と言いました。私は急いで2階に駆け上がりました。2階からふと見ると、今までに見たことのない光景なんです」
「自然災害は突然起きるのです。どっちの方に逃げたらいいのか、どこに避難したら自分の命を守れるのか、日ごろから皆さん考えておいてください」

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豪雨、地震、大雪…近年激甚化する災害。過去の教訓を防災に生かしていこうと、県民のみなさんの災害の記憶をシリーズで掲載します。

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