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小さく生まれた赤ちゃんの母親をケア 「さがリトルベビーハンドブック」【佐賀県】

2022/11/10 (木) 18:50

サムネイル
県が1500グラム未満で生まれた赤ちゃんとその家族などに配っている「さがリトルベビーハンドブック」。この制作に深く携わり、小さく生まれた赤ちゃんの母親などが集まるサークルの代表をつとめる女性を取材しました。

【江口玉恵さん】
「育児はひとりでするものではないので、もっとまわりに理解する人がいるよってつらいときにはつらいって言っていいんだよっていうことを伝えたい」

県が2021年4月から体重1500グラム未満で生まれた赤ちゃんとその家族などを対象に配っている「さがリトルベビーハンドブック」。生まれたときの体重が2500グラム未満の場合、「低出生体重児」と分類され、1500グラム未満の場合は「極低出生体重児」と分類されることもあり、その母親や家族の精神的な負担を軽減することなどを目的に作られました。
県こども家庭課によりますと、2020年は県内で6004人の赤ちゃんが生まれていて、そのうち50人が体重1500グラム未満で生まれました。

【江口玉恵さん】
「いろんな思いを抱えている早く小さく生まれた赤ちゃんのご家族がいるんだっていうことと、そこからたくさんの方に理解していただくきっかけになればいいなと思います」

ハンドブックの表紙の絵を描いたほか、内容について意見するなど制作に大きく関わったのが佐賀市の江口玉恵さん(40)です。
今から3年ほど前、江口さんは低出生体重児の母親などが集まった会で、当時から静岡県で配布されていたリトルベビーハンドブックの存在を知りました。

【江口玉恵さん】
「県内で、育児に対して前向きになれなかったり、ひとりでふさぎ込んでるお母さんがいたらこれ(リトルベビーハンドブック)を使ってほしいって思いがあって、県の方に制作を要望しました」

江口さん自身も2012年、予定日より2カ月ほど早く長男を出産しました。
生まれた長男の体重は1458グラム。

【江口玉恵さん】
「(長男がしていたのは)ものすごく小さいおむつだと思うんですけど、それすらぶかぶかで、体にいろんな管がついていて「とんでもないことをしてしまったなぁ」って、心の中で「ごめんね」ってしか言えなかったです」

交付されたときはうれしかったという母子健康手帳。長男を出産してからはその母子健康手帳で傷つくこともあったといいます。

【江口玉恵さん】
「「ハイハイをしますか?」とか(月齢ごとに)発達の質問があるんですけど答えが「はい」か「いいえ」しかないので「できない(いいえ)」が続くと、早く産んでしまったから(「はい」と)書けないんだって」

母子健康手帳との併用を想定したハンドブックには江口さんの経験が反映されています。

【江口玉恵さん】
「いろいろ発達の段階を追っていく項目があるんですけど、これができた日を書き込んでいくことで発達をずっとお母さんも追っていける」

また、現在の母子健康手帳は赤ちゃんの体重が1キロ未満や2キロ未満の場合、書き込めないことが多いのに対し、ハンドブックは0グラムから書き込めるようになっています。
このほか、ハンドブックには県内の低出生体重児の家族などが提供したたくさんのメッセージが載せられています。

【江口玉恵さん】
「同じように思ってがんばってるお母さんもいるし、それを経験したお母さんもみんな味方だよっていうのを伝えたいです」

ハンドブックの裏表紙に書かれた「Nっ子ネットワーク pian piano」。
江口さんが2019年に設立したサークルで、これまで県内の低出生体重児の母親や医療関係者など約40人が活動に参加しました。

【江口玉恵さん】
「もしかしたら(昔の自分と)同じようにひとりでふさぎ込んでるお母さんとかもいるかもしれない、それならその思いを共有したりなんでもないお話を気軽にできて集まる場所をつくりたいなと思って、サークルを立ち上げることにしました」

活動に参加している人もサークルがあったことで救われたといいます。

【参加者(唐津市から)】
「ずっとひとりで悩んでたこともあって(子供が)小さく生まれたからですね、でも参加してみて、一緒の境遇の方と話すようになって少し気持ちが楽になったので、参加してよかったなと思いました」

11月、佐賀市で小さく生まれた赤ちゃんの写真やその成長の様子を写した写真などを集めた写真展の開催を予定している pian piano。
江口さんはこれからも母親たちとの交流を持ちまわりに理解を深めてもらうため、活動していきたいといいます。

【江口玉恵さん】
「いつでも関わり合える、来たいときにママが必要としたときにいつでもつながり合える場をつくるっていうことと、写真展の活動などを通してたくさんの方に早く小さく生まれてもがんばっているお子さんや家族のことを知っていただきたい」

このハンドブックは300部つくられ佐賀・長崎・福岡の新生児集中治療室NICUがある医療機関で配られているということです。また写真展は11月26日と、27日に佐賀市大和町のウェルネス大和で開かれます。
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