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原因は「伝導過熱火災」 火の始末をしても壁の内側で発火 店を失った夫婦のやり場のない思い【佐賀県】

2023/03/02 (木) 18:18

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1日から春の全国火災予防運動が始まっていますが、県内ではここ1カ月、建物火災やその他火災が相次いでいます。2月、佐賀市では閉店後の飲食店が全焼しました。20年以上、店を営んできた夫婦は、想像もつかなかった火事の原因にやり場のない思いを話します。

【平川邦明】
「佐賀市の繁華街です。規制線が張られています。煙が充満しています」

建物の2階から上がる炎。火事は、深夜0時を過ぎた未明に突然発生しました。

【店主 宮崎正太郎さん】
「こんだけ燃えるか…というぐらい全部失くしちゃった。頭の中がぐちゃぐちゃ」

火事が起きたのは、佐賀市の飲食店「おでんdeスポーツバーいぷしろん」。

【店主 宮崎正太郎さん】
「店閉めて2時間近く経っているときで自宅で電話で聞いた。『店燃えてますよ』と言われて。意味不明ですね」

店に引き返した店主の宮崎さん。
警察から事情聴取を受けながら呆然と消火活動を見守るしかありませんでした。一夜明け、店の光景は一変していました。

【店主 宮崎正太郎さん】
「壁のがれき、堆積物が5センチぐらい積もっていてじゃばじゃば(消火で使った)水が流れてきてて思い出すのも怖いぐらいすごい状態」

真っ黒になったブレーカーに原型が分からないエアコン。木造2階建ての2階にある店舗は全焼しました。

【妻 宮崎由香さん】
「みんなといろんな思いで共有して店を作ってきてあっけなく無くなった。21年間の思いがこんなにも無くなるのかなと」

店は2002年にオープン。
夫婦二人三脚で作ってきたアットホームな空間は、サガン鳥栖サポーターの交流の場としても人気でした。

「ガラスは?」
火事の後、店には多くの常連客が片付けの手伝いに駆け付けました。

【佐賀市の常連客】
「びっくりというか真っ白。来れば来るほどいい店だった」

【福岡県大牟田市の常連客】
「ただただ悲しかった。眠れなかった。出来ることは何でもしたい。話を聞くだけでも」

一方、なぜ火事が起きたのか?
当時、火の始末はしっかりと確認していた宮崎さん。
出火の原因として浮上したのは聞き慣れない言葉でした。

【店主宮崎正太郎さん】
「火を消して閉店後1~2時間たってそんなことがあるの?という。そういう火事があるというのを本当に知らなかったので…」

火災のあと、消防から可能性の一つとして伝えられた「伝導過熱火災」。
ガスコンロ近くの壁の中の木材が、長年の過熱で炭化し、突然、火が出る火災です。県内では数年間に1件程度ですが、火の始末をしていても壁の内側で発火する可能性があります。

【宮崎由香さん】
「どこの家庭でもあり得るかもしれない火事。もちろん飲食店も。知って頂きたい。もうこんな思いは誰もしてほしくない」

思わぬ火事で、店にあるほぼ全てのものを失った2人。店を再建したい思いはあるものの、今後を考えるのは簡単ではありません。

【店主 宮崎正太郎さん】
「グラスの1つも酒の1本も無い。もう無理ですよ、もう店はしませんよとも言いたくないし、簡単に『します』とも言い切れないのが現実」

【宮崎由香さん】
「とりあえず今はもう頑張って…生きる。まずは生活ですね」
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